東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第74回 VOLKSWAGEN POLO GTI / フォルクスワーゲン ポロ GTI
“公道最速のクルマ”の夢を再び!? アーバンな暴れん坊、ポロ GTIに首ったけ。

ぱっと見は普通のポロのようだが、隈取のような赤いラインがアクセントとなり、GTIとしての存在感を高めている。
WRC(世界ラリー選手権)で総合優勝したモデルは、その年の公道最速の市販車である。この思い込みは2018年シーズンにおいては役に立たないかもしれないけど、あの歴史ある熱いドラマの勝者には、問答無用にその称号を与えたい。現在のポイントランキングでいえばトヨタのヤリス WRCで、恐らく今年の公道最速車は日本名、ヴィッツに他ならない。「マジか」って感じはするけど、ここに2年前に撤退したフォルクスワーゲンのポロ R WRCが走っていたら、と思わないでもないわけ。参戦した初年度に総合優勝すると、撤退まで無類の強さでWRCを席巻したフォルクスワーゲン。
現在、FIA(国際自動車連盟)に登録されているラリーカーとしての認証モデルは、このポロ GTIなのね。この新しいポロ GTIが呆れるほど速い! その市販車としての高すぎるポテンシャルを目の当たりにすると「フォルクスワーゲンは来年、ポロ GTIでWRCに復活するんじゃないの?」って思っちゃったよね。まぁ、しないと思うけど(笑)。そんな久々にイカれたホットハッチに乗れていちばん印象的だったのは、「スポーツ性能が高くとも、運転はここまでカジュアルになった!」ってことなんだ。「せめて乗る時は、コンバースのハイカットぐらいは履こうよ」から、「これならビーサンでもいいかも?」ぐらいイージーになったのだ(笑)。驚くべきハンドリングの鋭さに、軽快で全速度域で効くターボチャージャーの走りですよ。想像のふたつか3つ先を行くその速さは、WRCで覇権を争っていた往年の4輪駆動の国産ツインスクロールターボ車を思い出させる。でも片手片足でコントロールできちゃうから、マニュアルで車体を掌握するようなストイックさとは真逆なんだよね。
規格外の魅力にあふれた、ミニマルなホットハッチ
数値を見れば200馬力なんだけど、走りの感覚でいえば大型スポーツカー以上にエネルギッシュで楽しい。スタートでホイールスピンだってするし、6速ダイレクトシフトギアボックスの適切なシフト操作により想像以上の加速が楽しめる。ノーマルモードでは伸びやかに走り、スポーツモードに入れるとキレのよさとともに排気音も大きくなる。そうなるとクレイジーなホットハッチなんだけど、芯のところでちゃんとドイツ車を感じさせるんだな。
たとえば仲良くなった陽気なヘルムートが、実はクラウトロックだってありの引き出し多めなジャーマンテクノの大御所、DJヘルだったみたいな驚きっていうかな(笑)。フォルクスワーゲンだと思って質実剛健なクルマを想像していると、その規格外のすごさにびっくりするし、アルバムを何度もリプレイするみたいに乗り続けていると、ドイツ車らしいミニマルな設計思想も感じられるようになる。
昨今のじりじりとプレミアム化しているフォルクスワーゲンにおいては、デザインや内装も肩の力が抜けているほうだし、大型化したとはいえ、それを感じさせないポロらしさに嬉しくなる。よりミニマルを志向するならアップ! GTIだろうし、ハードでプレミアムな走りを求めるならゴルフ GTIなんだろうけど、真ん中の美学もあるよね。でもポロはポロであり、そのポロらしさ故に、レーシーなレッドブルのペインティングを再び纏ってほしくなる……。やっぱり来年からまた、このポロ GTIでWRCに戻ったほうがいいと思うんだよね(笑)。
赤いラジエーターラインがヘッドライトまで伸びたフロント。
ナビゲーションマップなども表示できるフル液晶メーターパネル。
ムードあふれる赤と黒を基調とした内装。
タータンチェックが配されたGTIの専用シート。
ホットハッチ感を高める側面のキャラクターライン。
ダークレッドのテールライトもGTI専用の仕様だ。
●サイズ(全長×全幅×全高):4075×1750×144mm
●エンジン形式:直列4気筒直噴ターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:200PS/6000rpm
●駆動方式:FF(フロントエンジン前輪駆動)
●車両価格:¥3,448,000(税込)〜
問い合わせ先/フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL:0120-993-199
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