男は黙って女王のために!? “ナイツなアイツ”のアストンマーティン DB11 V8

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第65回 Aston Martin DB11 V8 / アストンマーティン DB11 V8

    男は黙って女王のために!? “ナイツなアイツ”のアストンマーティン DB11 V8

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    ナビや車両情報なんかのインフォテインメントシステムは、メルセデス・ベンツと提携して使い勝手が大幅にアップ。インテリアデザインはいたってシンプルなので、ビスポーク(オーダー仕様)でこだわりたいところ。きっと、それ前提なんだね(笑)。

    近年のアストンマーティンは、「セカンドセンチュリープラン」と呼ばれるブランド強化策を実施している。DB11は、その計画の先鋒を担った車種。アストンマーティンの顔とも言える、副社長でありチーフデザイナーのマレック・ライヒマンによる、まさしく渾身のデザインで世界の度肝を抜いたんだ。DB11は、映画『007』シリーズ用(『007 スペクター』に登場)に特注で製作されたDB10を彷彿とさせるよね。そのプロポーションはDBシリーズのトレードマークであるロングノーズ、ショートキャビンでありながら、フロントとリアのオーバーハングを切り詰め、クラムシェルのボンネットやホイールまわりの曲線を優雅に量感たっぷりにまとめ上げている。

    DB11とDB10の違いで決定的なのはフロントグリルで、魚の口元を思わせるような独特のフォルムは、デザインに有機的な息吹を与えている。そのインパクトはDB10さえ、ありがちな過去のコンセプトカーへと追いやってしまうほど。トレードマークのフロントグリルを印象的なものにすることで、デザイン全体の強度を上げつつ、ブランドのアップデートをも果たしている。DB11は、この時代におけるスポーツクーペの極点的デザインだよね。英国車らしく、既に名車の風格さえ漂っている。まぁ、そんな感じで焦がれに焦がれて(笑)、ようやく乗れたDB11 V8は果たして、そのスタイリングが示す通りのスポーツクーペだった。

    エンジンはメルセデスAMGから供与されている4ℓのV8ツインターボで完璧。AMG GTではドロドロとV8感全開だった同じエンジンが、スペックはほぼそのままに、音は抑えられ低音のアストンらしい排気音へと変わっている。このハミングに軽やかなアクセルペダルが、「毎日乗りたくなるスポーツクーペ」というDB11 V8のたぐいまれなる個性を引き出している。まずGT、スポーツ、スポーツプラスと3段階あるドライブモードは、それぞれに使い勝手に優れているね。都内で一般道や首都高を走るには、スポーツが最適。普通に街角を曲がるだけでその軽やかさに胸がすく思いだし、ロングドライブで快適なGTカーでもあるから、座席を後ろに下げて片手でハンドルを操るようなクーペスタイルの“ドラポジ”が一番ハマる。これで「軽快に操れるクルマが見つかった!」って感じですよ(笑)。

    「クーペで軽快に街を走る」って言うのは簡単だけど、そもそもあっという間に超高速域に入れる地力をもったスーパースポーツは軽快とは言えないし、逆にライトウェイトを売りにするとパワーが物足りない。パワーとライトウェイトは突き詰めるとハードコアに行きがちだけど、DB11 V8はどちらももち合わせながら、その気はまったくないんだよ(笑)。スポーツ性能の演出だって、アクセルを戻した時のアフターファイヤー音ぐらいで、それだってエレガントなもので、思わずニヤリとしちゃうよね。あくまでもこのデザインこそが至上(アストンマーティン)で、それがあなたのものってクーペなんだ。DB11には至宝のV12もあるけど、街で軽快に乗りまくりたい自分はV8推し。ナイツなアイツ、ダニエル・クレイグだって、きっとそう言うと思うよ(笑)。

    アストンマーティン DB11 V8
    ●エンジン:4.0ℓ V型8気筒ツインターボ
    ●出力:510PS
    ●トルク:675Nm
    ●駆動型式:FR
    ●トランスミッション:8段AT
    ●車両価格:¥22,781,177(税込)~

    問い合わせ先:アストンマーティン ジャパン
    TEL:03-5797-7281
    www.astonmartin.com/ja