ピノ・ノワールに魅了されたつくり手が、北海道三笠市にたどり着いてつくった究極の1本。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #31|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    ヴィーニュ・シャンタント ピノ・ノワール

    ピノ・ノワールは飲み手のみならず、つくり手をも虜にするブドウです。そのピノ・ノワールに導かれるようにワインづくりの道を歩いてきた人がいます。北海道三笠市でブドウを育て、ワインをつくっている宮本亮平さんです。

    「ピノ・ノワールは私にとって人生の道しるべ。世界を広げてくれた大切な存在です」と宮本さん。

    2004年、宮本さんはニュージーランドでのワインづくりの修業から帰国し、1本のブルゴーニュ産ワインに出合います。「心臓をつかまれて揺さぶられるような衝撃を受けました。ワインを飲んで感涙したのは、あとにも先にもこの時だけです」。そしてすぐにそのワインをつくったジャッキー・トルショーというブルゴーニュのつくり手を訪ね、栽培法や醸造の仕方について学ばせてもらったのです。その2年後にトルショーが引退すると、今度は次に好きだったワインのつくり手のもとへ……。

    その後もワインに導かれるようにさまざまな人に出会い、たどり着いた土地が北海道三笠市でした。雑木林と化した急斜面に畑を拓き、ピノ・ノワールを植えて育てはじめました。畑から見える、石狩平野やその向こうの山々まで見渡せる景色も気に入ったそうです。そして今年とうとう、彼が育てたピノ・ノワールのワインがリリースされたのです。

    彼がつくりたかったのは、畑の風景や風土が透けて見えて、透明感と美しさのあるワイン。そのために極力余計な手をかけずにつくっています。

    グラスに注いだワインは少し暗めのルビー色をしています。薄い色合いながらとても香り高く、口の中で徐々に力強さが増していきます。余韻は静かですが長く続き、妖艶な印象を残します。“透明感と美しさ”がわかるような気がします。

    ピノ・ノワールに魅了されたつくり手が、北海道三笠市にたどり着いてつくった究極の1本。
    現在、南向きと南西向きの斜面の畑で栽培しているのはピノ・ノワールのほかにシャルドネとピノ・グリ。畑の面積は1.5ha。来年もう少し拡大する予定。

    ヴィーニュ・シャンタント ピノ・ノワール

    ヴィンヤード名/宮本ヴィンヤード
    品種と産地/ピノ・ノワール(北海道三笠市)
    容量/750ml
    価格/4,860円
    問い合わせ先/宮本ヴィンヤード
    http://miyamoto-vineyard.com