240年栽培され続ける貴重な甲州でつくった厚みのある1本が、山形県庄内から届きました。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #18|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    月山ワイン・ソレイユ・ルバン 甲州シュールリー2015

    日本の中で最もワインに仕込まれている量が多いブドウは、甲州ブドウです。「甲州」という名前のとおり、山梨県が原産なのですが、実は江戸時代、既に山形県や長野県でも栽培されていたことを示す記録が残っています。

    例えば山形県庄内地方では、初めは庄内藩の城の中でこのブドウが栽培されていたようです。しかし、城内にブドウがなっていると「武道が下がる(ブドウがぶらさがっている)」ので好ましくないので城の外で育てるようにとのお達しがでたそうです。それがきっかけとなり、庄内地方西荒屋地区で甲州ブドウの栽培が始まったのです。まるで冗談のような話ですね。

    こうして生まれた甲州ブドウ産地ですが、ここは甲州としては北限の産地になります。けれど水はけのよさや、夜温が下がることも幸いして、とても品質のよいブドウが穫れるのです(ブドウは水が足りなかったり、夜の気温が低かったりと、ストレスがかかったほうが甘くなったり、色が濃くなったりします)。

    かつてこの甲州ブドウは他のブドウと混ぜてワインに仕込まれていました。それではもったいないと、甲州ブドウだけで仕込んでワインに仕上げたのが、庄内たがわ農業協同組合月山ワイン山ぶどう研究所の阿部豊和さんです。「西荒屋で甲州ブドウの栽培が240年間も続いてきたことはあまり知られていません。しかも樹齢が40〜50年の古木がまだ残っているのです。ここのブドウを活かしたワインをつくり続け、後の世代に伝えていきたいと思っています」と阿部さんは話してくれました。

    日本のワインづくりが、各地域の貴重な財産を守ることにもつながっていることもあるのです。2015年の甲州ワインは、後半にぐぐっと厚みの感じられる仕上がりです。秋の冷え込みのおかげで保たれた酸も伸びやかです。

    240年栽培され続ける貴重な甲州でつくった厚みのある1本が、山形県庄内から届きました。
    西荒屋地区は、月山を源流とする青龍寺川の氾濫によって砂利を多く含む土壌です。稲は育たなかったけれど、城を追い出されたブドウはすくすくと育ったようです。甲州ブドウが当時の農家を支えてきたのですね。ここは豪雪地帯で、収穫した甲州ブドウを新聞紙を敷いた木箱に入れて、家屋と外の雪の間に保管して、雛祭りの頃まで楽しむという習慣がいまも続いているそうです。

    月山ワイン・ソレイユ・ルバン 甲州シュールリー2015

    ワイナリー名/庄内たがわ農業協同組合月山ワイン山ぶどう研究所 
    ブドウ品種と産地/甲州(山形県鶴岡市)
    容量/720ml
    価格/¥1,836 
    問い合わせ先/庄内たがわ農業協同組合月山ワイン山ぶどう研究所 
    TEL: 0235-53-2789
    www.gassan-wine.com/index.html

    プレゼント

    連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第18回「月山ワイン・ソレイユ・ルバン 甲州シュールリー2015 」のご応募の締め切りは、2016年9月8日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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