写真:SHINMEI(SEPT)
Vol.03 サンダル作家、ユッタ・ニューマンの定番と、5ブランドの個性派レザーサンダル
夏の足元を飾るシューズとして、街中でもアウトドアでも、誰もがサンダルを愛用するようになりました。スニーカーが大ブレイクした昨年の流れを受けて、2016年も人気の中心はスポーツサンダル。一方で、風格のあるレザー製を求める人も増えています。「着る/知る」Vol.3では、このレザーサンダルにフォーカス。憧れの逸品を始め、シューズブランドからも続々と登場しているユニークな品をご紹介します。
まずお届けするのは、ドイツ出身の女性レザー職人、ユッタ・ニューマンのアトリエでつくられた手づくりサンダル。ユッタが手掛ける製品は、レザーサンダル界で最高峰に位置づけられています。この型は、1994年にニューヨークにアトリエを構えた彼女の作品を代表する、「アリス」。足の甲と親指でホールドするフィット感の高い一足です。
野性味のある分厚いレザーをねじ伏せるかのごとく生み出された立体的な造形は、あたかも金属板の重厚な彫刻のよう。迫力を感じさせる最大の特長は、足裏の土踏まず部分を盛り上げたアーチサポートの構造にあり。他ブランドのレザーサンダルにはまず見られない形状で、足に馴染み、快適な歩きやすさを実現させています。アウトソールがビルケンシュトックの「Birk」なのも、履き心地がいい理由の一つです。
カーキ色のハラコのストラップを配したコンテンポラリーなデザインです。履き続けてレザーが擦り切れても、新品とはまた違った貫禄が出てくるのが「ユッタ・ニューマン」のスゴさ。アウトソールの交換も可能ですから、どうぞ長く愛用してください!
どうせ履くならユニークなサンダルを!
このページでは、東京・表参道のメンズセレクトショップ「レショップ」で見つけたレザーサンダルをご紹介。今季は各ブランドがユニークなデザインを行なっており、“革サン” 好きには当たり年といえるでしょう。上写真はドレスシューズに定評があるイタリアの「F.lli Giacometti(フラテッリ ジャコメッティ)」のもの。なんと、ダブルモンクストラップシューズをカットオフした仕立て!時代感覚を巧みに捉えるブランドらしい高品位かつユーモラスなこの一足は、ソックスを履いた足入れが似合います。
アメリカ・サンディエゴ発のレザーブランド、「South Bay Leather(サウス ベイ レザー)」は、白メッシュの涼しげな佇まい。リゾートシューズふうのエスニックなムードが漂います。ソックスを履いて気軽なドレスアップにも、短パンに素足でラフにも、履きこなし自在です。
踵のストラップのないスリッパ・サンダルは、気軽な外履きに便利。スリッパタイプは特に今年人気が高いデザインです。これはアメリカのデザイナーズサンダル、「Waltzing Matilda(ワルチング マチルダ)」。レザーシューズに近い仕立てなので、ロングパンツの裾を被せれば爪先がワークシューズのように見えるのも◎。社内でのリラックスシューズにも活用できそうです。
オーストリアのサボ専門ブランド「WOODY(ウッディ)」の品。古くは農民が履いていた木靴にルーツを持つサボは、70年代に流行したシューズ。この時代のレトロなビンテージスタイルが注目されている現在のファッション傾向と合致します。ウッディは木のソールの間に樹脂を挟み込み、曲がらないことが難点だったサボのソールに屈伸性を持たせました。この画期的な工夫が、同ブランドを特別なものにしています。
ラストにお届けするのは、ビーチリゾート用のエスパドリーユ。サンダルとは呼べないものの、今年らしい気分の一足なのでついでに。芸術家パブロ・ピカソも愛用していたことで知られるフランスのエスパドリーユメーカー、「Don Quichosse(ドン キショース)」です。ジュート(麻)縄を巻いて靴底を仕立てた伝統のつくりですが、これはアッパーとインソールがレザー。オール布製の一般的なエスパドリーユと異なり、スニーカーとのハイブリッドな融合を感じさせるモダンさです。ソフトレザーならではの馴染みの良さを肌で感じつつ、街中でも室内でも愛用してみてはいかがでしょう?(高橋一史)
※ 取材協力・レショップ 青山店 TEL : 03-5413-4714 ※ 店内撮影・高橋一史