葉物野菜が、LEDライトですくすく育つ。

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    青野豊・写真photographs by Yutaka Aono

    葉物野菜が、LEDライトですくすく育つ。

    北欧ブランドならではの近未来的なフォルムは、インテリアとしても映える。¥51,840

    2015年秋に日本に上陸した「Plantui(プラントゥイ)」は、日照時間が少ないフィンランドで生まれたインドアハーブガーデンだ。ヤンニ・ロイスク――彼は現在ブランド&デザインディレクターを務める――が、サマーコテージで行っていたガーデニングを都会の自宅でも手軽に楽しめないかと考案。コンピューター制御による光と水のコントロールで、種が入ったカプセルをセットするだけでハーブや葉物野菜、食用花が育てられる。 

    LEDによる水耕栽培器はここ2~3年、いくつか登場してきているが、プラントゥイの世界観はほかとは一線を画す。丸みを帯びたマットな質感の本体にはスイッチや操作ボタンのようなものが一切なく、トップのセンサーに手をかざすことですべての操作を行う仕組みになっている。インテリア性の高さは出色で、レッド・ドット・デザインアワードを受賞しただけのことはある。 

    水と栄養剤を本体のウォーターボウルに入れ、カプセルのシールをはがしてセットすれば準備完了。青、赤、緑の3色のLEDを生長段階に応じて照らし分け、最適なタイミングと頻度で自動給水するため、面倒な手間をかけずすくすくと育ってくれる。太陽の下で育つ植物と同じように、1日8時間は消灯し「夜」をつくる仕組みも備えており、自分たちの暮らしのリズムに合わせて設定できる。たとえば毎夜10時消灯というサイクルにする場合、その時間になったら本体天面に3秒ほど手をかざせばOK。一度設定すればタイマー機能が働いて、翌日からは毎夜10時におやすみ状態になる。変更も、再び手をかざすだけと簡単だ。 

    日本の環境に適応する種が選ばれているため通年使えるが、室温は15~25℃が望ましく、直射日光やエアコンの風が当たるところは苦手だとのこと。キッチンカウンターや寝室などがお似合いだ。本体のカラーはベーシックなホワイト、グレーのほか、部屋のアクセントになりそうなレッドも揃う。夜には間接照明の役割も果たす。 

    種子の入った専用カプセルは現在24種類。種類によって3~12週間で収穫できるまでに生長する。お馴染みのスイートバジルやルッコラのほかコリアンダー(パクチー)の種子キットもある。最近は高級スーパーでなくとも手に入るようになってきたが、瑞々しく鮮烈な香りを放つ、摘み立てのパクチーをふんだんに使える幸せは、パクチー好きにはどんなに魅力的なことだろう。8つのカラーが揃う食用花のビオラも、食べるのがもったいないほど可憐で美しい。好きな味を選ぶか、見た目で選ぶか。キット選びに悩むのもまた楽しい、新しいガーデニングツールなのだ。

    1箱3カプセル入った種子キット。バジルやコリアンダーなど、日本では24種がラインアップ。1箱¥1,512

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立し、豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信。2015年2月、表参道に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載