LOVE LOVE スバルを叫ぼう。AWDターボで出かけよう。どうしてS207は即日完売しちゃうのか?

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第11回 スバル「 WRX STI S207」/SUBARU WRX STI S207

    LOVE LOVE スバルを叫ぼう。AWDターボで出かけよう。どうしてS207は即日完売しちゃうのか?

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    スカイラインGT-Rの最終形っぽいよね、佇まいが。リアスポイラー(オプション)もきまってて、速さのオーラはむんむん出てる。ハンドルやレカロのシートなんかもスポーティさというより上質さに振っている。ちなみに洗車機には入れられないので、男は黙って手洗いオンリー。

    限定400台が即日完売で、もはや買えないS207。人気の秘密はスバルのモータースポーツ魂が注ぎ込まれたWRX STIのコンプリートカーであるが故。あまりにも多くの購入希望があったので抽選までしたというからホント買えたスバリスト(スバル車信奉者)の諸兄はラッキーでしたね。この後、2年ぐらい厄年が続いても全然問題なしでしょ(笑)。何といっても、現時点でSTI最速のS207を手に入れたのだからね。あはははは。

    ま、冗談はさておき、ベースモデルからエンジンのバランス取りを極限までつめ、排気抵抗を大幅低減、ターボも過給圧アップで出力、トルクともにシリーズ最高値に到達させたS207。個人的にとくに気になったのはビルシュタインと共同開発した専用の減衰力可変ダンパーかな。ハンドルを通して伝わってくる路面のインフォメーションが極めて明確なのと、ギャップのいなし方が硬そうにみえてとても繊細なのね。これは時間をかけたセッティングの妙。この点、ニュルブルンリンクでの走り込みが相当に寄与してるんじゃないかと思わせる。すごいいい。

    通常走行の静粛性とともに、そういう細部の質が高くてね、「ああ、スバルの走りはやっぱりこっち(プレミアム路線)に行くんだな」と思わされた。インプレッサのスペックCの時代から「値段は高くともいいから、内装やデザインを上質にして欲しい」という声はずっとあったけど、いずれにしてもWRXはGTRぐらいの価格帯になるんだろうな。きっと。それでも全然、妥当だけどね(笑)。なぜなら水平対向エンジンとともにスバルの魂であり、日本が誇る自動車文化とはAWDターボにほかならないんですよ。

    4輪が路面に噛みつくようにグリップし、センターデフが、前後輪の駆動力をコントロールする。戦闘機のようなターボタービンの回転音とともにレカロシートにホールドされたコクピットで、コンパクトに全身を使って車体の挙動を意のままに制御する。繰り返し言おう、「意のままに制御する」(笑)。スバルとSTIはWRC(世界ラリー選手権)に出場することで、ラリーで得られた経験を市販車にフィードバックしてきた。目的は舗装路からグラベル(未舗装路)、雪道まであらゆる路面を“最速で走れるクルマ”をつくること。その苦闘の経験が、現行のWRXにも脈々と心臓のように脈打っているし、さらにはニュルブルンリンクなんかの新しい経験が上乗せされているのも実感できる。

    「クルマは道からつくられる」って言葉通りのクルマづくりなんだよね、スバルって。お膝元の群馬は榛名、赤城、碓氷、妙義と峠ばかり。そもそも日本の自動車文化は「峠」ありきでしょ!? コンパクトで扱いやすく、ハードな使用状況でも壊れない。それが欧米の自動車メーカーに対抗するためのアイデンティティだった訳。ランエボの三菱はとくにそうだったけど、90年代に市販車ベースにこだわってWRCに参戦していたスバルと三菱は、世界中のあらゆる路面を限界走行した門外不出の走行データをもっている。資産として使うか使わないかは別として、スバルの魂とはやっぱりそこに尽きるでしょ。

    WRXに限らず、始動してすぐに分かるスバル車の魂って、すなわちモータースポーツの経験を激流のように浴びて磨かれたもの。水平対向エンジンで低重心のAWDターボを、絶対曲げない信念にしてね。嗚呼もう、愛してる。スバルルルル。ねぇ、どうして上手く言えないんだろう? WRCに帰って来てよってね(笑)。

    SUBARU WRX STI S207/スバル WRX STI S207

    ●エンジン種類:EJ20水平対向4気筒 2リットルDOHC16バルブ デュアルAVCSツインスクロールターボ
    ●最高出力:328ps / 7,200rpm
    ●最大トルク:44.0kgf・m / 3,200~4,800rpm
    ●トランスミッション:6速MT
    ●車両価格:
    「S207」¥5,994,000(200台限定)
    「NBR・CHALLENGE PACKAGE」¥6,318,000(100台限定)
    「NBR・CHALLENGE PACKAGE YELLOW EDITION」¥6,372,000(100台限定)
    合計400台限定

    問い合わせ先:スバルテクニカインターナショナル株式会社 
    TEL 0422-33-7848

    http://sp.subaru.jp