映像の次なる進化を目撃する、最新レコーダー

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    映像の次なる進化を目撃する、最新レコーダー

    ウルトラHDのブルーレイを再生できる、世界初の家庭用レコーダー。実勢価格¥430,000

    新しいブルーレイ「ウルトラHDブルーレイ」が発進した。ウルトラHDとはまた大げさだが、4Kを欧米ではそう呼ぶ。つまり「4Kブルーレイ ディスク」だ。
    映像のパッケージメディアは約10年単位で進化している。VHSが1976年に生誕し、家庭での放送記録の道を開いた。その約10年後に記録帯域を拡げたS-VHS。その後、96年にDVDが登場。2006年にハイビジョン映像を収録するブルーレイディスク。そしていま、次世代4K映像を収録するウルトラHDブルーレイの発進を迎えた。 

    パナソニックの新BDレコーダー、「DMR -UBZ1」は、世界初のウルトラHDブルーレイプレーヤーだ。「BDレコーダーにしてウルトラHDブルーレイプレーヤー」とはちょっとわかりにくいが、つまりCD、DVD、BDが再生でき、ハイビジョン番組が録画できるというBDレコーダーに、ウルトラHDブルーレイ再生機能を加えたものだ。
    ウルトラHDブルーレイは、解像度がハイビジョンの4倍であるというだけでなく、画質改良の歴史から得られた知見がすべて投入されている。色表現には、人が視覚で感じられる物体色の99%をカバーする新しい色域が採用され、黒から白へのグラデーションが現行BDの4倍も増加。これまでまったく手がつけられていなかったハイ・ダイナミックレンジ(HDR)という、究極の高画質の仕掛けも入った。 
    HDRは映像業界で最も注目される最新技術。自然界の光のDレンジはものすごく広い。ディスプレイは最近液晶テレビでも直下型LEDバックライトの採用が増え、高輝度が表現可能になってきた。しかし、現行ハイビジョン規格では、実世界とディスプレイをつなぐメディアの部分でレンジが大幅に圧縮されるので、高輝度再現能力があるディスプレイでも、オリジナルのレンジを再現できない。そこでメディア部分でのDレンジを上げ、コンテンツ|メディア|ディスプレイのエコ系すべてをHDR化する動きがここにきて顕著になっている。ウルトラHDブルーレイは、そのメディア部に当たる。 

    筆者は、このプレーヤーでHDRの4Kコンテンツのディスクを、HDR対応の4K液晶テレビで観る機会があった。驚いた。高輝度部分に階調がきちんとあるだけでなく、色の情報が非常に増えた。画素数は同じなのに、色数が大幅に増えるのだ。
    価格は約40万円。画質だけでなく、高剛性筐体、高音質パーツ採用……など、音づくりにも徹底したこだわりで臨んだ。音の勢いがビビッドで、音場はベールを数枚はがしたような、空気の澄みようだ。最強のプレーヤーの登場を刮目したい。

    ボタンもほとんどないシンプルな筐体。Wi-Fi機能も搭載し、録画した番組をスマホで視聴することが可能。

    麻倉怜士
    デジタルメディア評論家。1950年生まれ。デジタルシーン全般の動向を常に見据え、巧みな感性評価にファンも多い。近著に『高音質保証!麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)『パナソニックの3D大戦略』(日経BP)がある。
    ※Pen本誌より転載