ヘイ、ポール。ちょっとそこに立ってみて。どうだい? この新しいクラブマンは。

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第8回  ミニ 「クラブマン」/MINI CLUBMAN

    ヘイ、ポール。ちょっとそこに立ってみて。どうだい? この新しいクラブマンは。

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    今回の一台を走らせるならあまり「夜」って感じがしないんだけど、実際はロゴのウェルカムランプがあったり、照明付きドア・ベゼルで12のセッティングからアンビエントな照明パターンを選べたりとかナイトタイム感も健在。MINIはやっぱり夜遊びトーキョーですよね、車日記的に。

    最初に見た時、だいぶサイズアップしたな!と驚きましたね、ミニ・クラブマン。8年前に先代が登場した時には、3ドアハッチバックのあくまでもエステート版って態だったからね。特徴的なリアの観音型のドアと古式ゆかしいワゴン形状を「シューティングブレイク」と呼んでもいた。狩猟用の長モノの銃を格納し、犬をリアベッドに待機させて狩りに出かける英国のハンティングスタイルからインスピレーションを受けててね。MINIながらシブかったよね。ハンチング帽とハリスツイード的な。

    今回はBMWの1シリーズと車台を共有し、コンセプトを一変。大人4人がゆったり乗れる“使える”MINIに生まれ変わった。リアの観音ドアは残してるけど、個人的には、5ドアに続いて「ファミリーの使い勝手とMINIらしい走りが両立できるモデルが登場したな」って感じだね。試乗したクーパーSは2ℓもあるし、最新の8速ATとの組み合わせも素晴らしい。エグイとまではいかないけど、FFでぐんぐん走るホットハッチ感は十分すぎなぐらいある。ボディのサイズアップに伴って積載容量も大幅に増えて、平常時で360ℓ、シートレイアウトの変更により1250ℓまで拡大できる。キャンプや買い物にも重宝するのはもちろん、もはや立派な機材車になるMINI(笑)。ひと昔前には考えられないから!

    MINIがクラブマンの大幅なサイズアップに踏み切ったのには、誕生から15年経ってMINIユーザーの家族構成が拡がってきたことが挙げられる。最初はカップル、そこに子どもが増えて、小さいうちは3ドアでよかったものの、さらに子どもが増え、成長するにつれ必然的にMINIがMINIすぎるってことになる。でもMINIのユーザーはMINIならではの走りであるゴーカートフィーリングやナイトクラブのりのインテリアが忘れられず、乗り継げる車種を待望していたって感じじゃないかな。

    加えてインテリア全体の質感をあげたことでプレミアムな層にも参入したい、そういう意欲をストレートに感じるね。MINIの新車が出るたびに『そのMINIはポール・ウェラーが乗っても格好いいか』ってアリナシを個人的にはしているんだけど、その点もOK。グレイヘアで細身のスーツのポールを、そっとこのMINIの横に立たせてみようか(笑)。ほらね。うんうん、いい感じ。大事なのは遊び心とさり気ないこだわりってヤツですよ。

    MINI CLUBMAN

    ●エンジン形式:2ℓ直列4気筒
    ●最高出力:192ps
    ●最大トルク:280N・m
    ●トランスミッション:8速AT
    ●車両価格:¥3,840,000

    問い合わせ先:MINIカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-3298-14