5つの人気ブランドから選んだ、いま手に入れるべきサングラス

  • 写真:青木和也
  • スタイリング:小野塚雅之
  • 文:高橋一史

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夏に向け手にする機会も増えるサングラス。専業ブランドの定番モデルもいいが、旬のファッションブランドが手がけるものにもぜひご注目を。独自のデザインでいまの空気や勢いを表現する5ブランドから、今夏の一本を探してほしい。

クリアフレームのアイウエアは新定番になる勢いで、いまファッション通に人気が高い。サングラスなら取り入れやすいだろう。サングラス「FF M 0069/G/S Col.900 7Q」 ¥38,500(税込)/フェンディ (サフィロジャパン お客様相談室 TEL:0120-54-7750) Tシャツは以下すべて私物

ファッション業界の先端で新たなトレンドを生み出すラグジュアリー&デザイナーズブランドは、アイウエアにもエッジィな感性を注ぎ込む。この実用的なアクセサリーひとつにも、時代の気分が凝縮されているのだ。夏に向け新作サングラスが続々と登場する中で、注目すべき5ブランドを紹介する。やや派手に思えるかもしれないが、軽装になる夏ならば、凝ったデザインのほうが装いを洒落たものに見せてくれる。各ブランド渾身のスタイルを、ぜひ日常に取り入れてみよう。

マイキータ+メゾンマルジェラは、超軽量なステンレスフレームが魅力。

アイウエアのマイキータと、ファッションブランドのメゾンマルジェラが毎シーズン展開しているコラボアイウエアの新作。両者の持ち味が融合した稀有な一本だ。
肌なじみのいいヌードカラーを纏った、驚くほど軽量なサングラス。スーツでもカジュアルでもスポーツでも、服装を選ばずデイリーに愛用できる。サングラス「MMESSE028 E9-Nude」 ¥68,200(税込)/マイキータ + メゾン マルジェラ(マイキータ ジャパン TEL:03-3409-3783)

アイウエアのつくりのよさで名高いドイツのマイキータが、前衛的なメゾンマルジェラと組んだコラボブランド「マイキータ+メゾンマルジェラ」。ここに紹介する繊細で知的な印象のフレームは、同コレクションの「エッセンシャル」シリーズの一本だ。ステンレスを打ち抜いた平面的なフレームは、ベルリンの本社兼工場で手作業により製造され、ドイツの工業デザインの伝統とリンクする。ノーズパッドまで同素材で揃えた、洗練のミニマリズムだ。表面は特殊な塗装で独特な風合いに仕上げられている。ブランドロゴを目立たせないメゾンマルジェラのアノニマスなスタイルも踏襲された、さりげなくも主張のあるサングラスだ。

こちらは同コレクションから、レンズとフレームの色を揃えたシンプルな一本。ネジを使わない特殊な構造の極薄フレームは、捻れるほどの柔軟性をもつ。サングラス「MMESSE029」¥68,200(税込)/マイキータ + メゾン マルジェラ(マイキータ ジャパンTEL:03-3409-3783)

70年代スタイルを、現代的にアップデートするグッチ

グッチならではの大ぶりなフォルムが際立つ、ダブルブリッジのアビエイターグラス。トレンドのレトロな服装にフィットする。
ブロウタイプのメタルフレームに、アセテートのフロントをネジ留め。メカニカルな構造も、モノ好きな男心をくすぐる。サングラス「GG0672S Col 004」¥53,900(税込)/グッチ(ケリング アイウエア ジャパン カスタマーサービス TEL:0800-555-1001)

ティアドロップタイプの大判レンズが流行したのは1970年代のこと。グッチの服や小物の人気が世界中で花開いた時代でもある。当時のテイストを取り入れた今季の新作アビエイター(パイロット)グラスにも、そのムードが色濃く漂っている。ファッショントレンドとして70年代スタイルが勢いを増すいまこそ、ティアドロップをかけてみてはいかがだろうか。この一本はメタルとセルのコンビタイプで軽快なバランス。さまざまな素材が使われ、複雑な味わいに満ちている。服装は、サファリジャケットやフレアパンツといったヴィンテージ調がやはり相性抜群だ。

こちらは同型の色違い。ドライビング仕様のイエローレンズは軽快感がさらにアップ。実際の重量も、見た目からは意外なほど軽量でかけ心地がいい。サングラス「GG0672S Col001」¥53,900(税込)/グッチ(ケリング アイウエア ジャパン カスタマーサービスTEL:0800-555-1001)

象徴的なディテールを、黒にアレンジしたトム フォード アイウエア

スクエア型で太めのアセテート製セルフレームに、黒のT字アイコンが調和する。2020年春夏のニューモデル。
顔が大きく鼻が低いアジア人の顔型にフィットするよう、ノーズパッドを高く盛り、全体的に大きめに仕上げられたアジアンフィットモデル。サングラス「TF 0751FN」¥50,600(税込)/トム フォード アイウエア(トム フォード アイウエア プレスルーム TEL:03-6804-3652)

大人の色気を表現するアメリカ人ファッションデザイナー、トム・フォードが自身のブランドを始めた時、最初にデザインしたのがアイウエアのコレクションだった。同ブランドにとって重要なこのアクセサリーを製造しているのが、数々のハイブランドを手がけるイタリア・マルコリン社である。互いの協力のもとに生まれたコレクションは、きわめて男性的だ。そのシンボルがヒンジのT字金具である。ここに掲載するのは、これまでシルバーやゴールド色だけだったそのT字が、黒にアレンジされたニューモデル。定番の太めのフレームが新たにマットな輝きを手にして、より幅広い服装に合わせやすく進化した。

こちらも同様にT字が黒に変更された新型。アジアンフィットではないグローバルモデルだが、ラウンドフレームは多くの日本人の顔に似合う形状なので要チェック。サングラス「TF 0752-N」¥50,600(税込)/トム フォード アイウエア(トム フォード アイウエア プレスルーム TEL:03-6804-3652)

新生ボッテガ・ヴェネタの極太フレームで、大胆な装いにチャレンジ

極太のスクエアフレームでダイナミックな装いを。軽快な印象のクリアフレームなら、合わせられる服装の幅も広い。
イエローのトーンでまとめられたデザイン。フレームはアセテート、レンズは軽量なナイロンを素材として使用。内部のメタルフレームが透けて見えるスケルトン仕様だ。サングラス「BV1030S Col.004」¥44,000(税込)/ボッテガ・ヴェネタ(ケリング アイウエア ジャパン カスタマーサービスTEL:0800-555-1001)

2019年プレフォール・コレクションよりボッテガ・ヴェネタのクリエイティブ・ディレクターに就任したダニエル・リーはブランドのスタイルを、職人技を駆使した繊細な作風から、シンプルで大胆かつモダンな方向に転換した。ストリートのエッセンスも加わり、より多くの人の日常に寄り添うブランドになったといえるだろう。掲載の新作サングラスは、身体のラインを大きく包む今季のビッグサイズのコレクションに馴染むシルエットが特徴。1990年代調のミニマルな服装に合わせれば未来的に、80年代調ならポップに、70年代調ならクラシックにと、着こなししだいで表情が変わる。世界中で人気急上昇中のブランドを手にするいい機会になりそうだ。

同じ型でもべっ甲調の色になるとシルエットの存在感が増す。ブランドロゴは左テンプルの上部にさりげなく刻印されている。サングラス「BV1030S Col.002」¥44,000(税込)/ボッテガ・ヴェネタ(ケリング アイウエア ジャパン カスタマーサービス TEL:0800-555-1001)

品性と遊び心のバランスが巧みなフェンディ

光を通すスケルトンフレームと、光の角度によって反射するフラットレンズを一体化。そのコントラストも特徴的な “地味派手” のサングラス。
フレームの素材はアセテート。フロントの下部がラウンドで、上部が直線的な形状も個性的。あらゆる箇所にデザインを詰め込んだ一本といえる。サングラス「FF M 0069/G/S Col.3Y5 IR」 ¥38,500(税込)/フェンディ (サフィロジャパン お客様相談室TEL:0120-54-7750)

畳んだ状態ではごくシンプルに見えるが、顔にかけると複雑な表情が現れるフェンディのサングラス。その仕掛けはテンプルの巧みな配色と、フラットなレンズにある。スケルトンのテンプルとフロントのメインカラーは同じだが、テンプルの上部にはべっ甲調の、下部には白系の別色が追加されている。さらにレンズは曲面のないフラットタイプで、光を反射する仕上げ。これらの工夫により、見る角度で異なる印象が生まれるのだ。フェンディは服のデザインにおいても、素材や柄を深く追求しているブランド。自然界に思いを馳せた今季コレクションとも、このサングラスは見事に調和する。

夏の日差しに映える同型のクリアフレームは、テンプルの上部が白系、下部が黒系に彩色されている。テンプル内部のメタルフレームはフェンディのアイコンマーク入り。サングラス「FF M 0069/G/S Col.900 7Q」 ¥38,500(税込)/フェンディ (サフィロジャパン お客様相談室 TEL:0120-54-7750)

アイウエアの選び方には顔の輪郭や体型に応じたセオリーがある。丸顔ならラウンドタイプが、面長ならスクエアタイプが似合うのが一般的。また、大柄な体型には太いフレームが、小柄な体型には華奢なフレームが馴染みやすい。とはいえサングラスは気分が高まる夏のアクセサリーなので、セオリーを気にし過ぎず自由に冒険して選びたいものだ。アイウエアを主役に服装を考えるのも楽しいだろう。今回紹介した5ブランドのサングラスには、それだけの価値がある。