トゥールビヨンの斬新さと、クロノメーターの古典的な佇まい。

文:並木浩一 写真:宇田川 淳

ユリス・ナルダンには2つの大きな魅力がある。ひとつは船舶に備え付けられるマリン・クロノメーターのつくり手としての、長い伝統だ。いまも横須賀で展示されている日露戦争時の旗艦・戦艦三笠でも、ユリス・ナルダン製のデッキ・クロノメーターを見ることができる。腕時計の「マリーン」コレクションはその系譜に連なるもので、古典的なスタイルと、船舶時計の絶対的な要素である、精度の高さを併せもつ。 「マリーントルピユール」はまさにそうした魅力あふれるモデルだ。黒々としたローマ数字インデックスに、ふたこぶのポワール・スチュワート針。レイルウェイ・インデックスに添えるのは大ぶりな秒針のサブシダリー・ダイヤルと...

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