“故あって大型”を選ぶなら、洗練のドレスかタフなパイロットか。

文:並木浩一 写真:宇田川淳

腕時計サイズの主流が40mmを超えたのは、今世紀が始まる頃のこと。それは流行の要請であったのだが、IWCはそれとはまったく異なる文脈で大型時計をつくり続けている。 いまも昔も熱狂的なファンの支持を受けるIWCは、きわめて珍しいドイツ語圏スイスにある高級腕時計ブランドだ。創業地シャフハウゼンを離れることなく、フランス語圏スイスに集中する高級ブランドの圧倒的な勢力と伍する立ち位置。他にはないファンを呼ぶ理由のひとつは、このブランドこそが大型腕時計のサイズを決めた存在であることだ。 「ポルトギーゼ」は1930年代、二人のポルトガル人(ポルトギーゼ)時計商の求めに応じて誕生した腕時計である。彼...

続きを読む