一生ものの革ストラップで味わう、エルメスの腕時計ふたつの愉悦。

文:並木浩一 写真:宇田川 淳

エルメスがパリの馬具工房から始まったことはよく語られるが、実際は「いまでも」世界屈指の高級馬具商である。オーダーメイドの鞍も製作しているし、ムチや乗馬用のクラシカルな正調ポロシャツも揃う。フォーブル・サントノーレに第一号店を構えるエルメスの製品は、馬場であっても鞍上で映えるのだ。極上の革ストラップを備えた腕時計には、そんなメゾンの光背が透ける。 ラウンドシェイプの「アルソー 78」は、定評あるロングセラーの名に誕生年を添えた、軽快なクオーツ・モデル。粒々の質感を見せるグレイン仕上げの文字盤には、“馳せる馬のたてがみ”と評されるタイポグラフィのアラビア数字。特徴的な上下非対称のラグのデザ...

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