【今月のPenお薦め3本】カルティエからIWCまで、「ブルースチール針」が象徴的なクロノに注目

写真:渡邉宏基、文:並木浩一

針は時計の印象を決める重要なパーツだ。なかでも白文字盤にブルースチール針のコンビは、懐中時計の時代から続く、「高級時計」の象徴でもあった。純潔の白と高貴な青。色そのものにかかるシンボリックな意味もさることながら、「焼き入れ」の作業を伴うその仕上げ自体に、職人が手をかけた様子をうかがい知れるからだ。 針を錆びさせないためには、青焼きの技法が最も優れていると感じる。鉄の針を300℃前後まで熱していくと、小麦色から紫、さらには紺に変化していく。熱処理によってもたらされる酸化皮膜は、冷めてもそのまま残る。これを絶妙の色合いでとどめたのが、ブルースチール針。近年では安価な量産品だと塗装で代用す...

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