空想のロマンが飛ぶ先は、冒険家の偉業か40年代の夢か。

文:並木浩一 写真:宇田川 淳

ロンジンの見逃せない手腕のひとつが、過去の銘品へのオマージュだ。ときには忠実な復刻、またリデザインの手法も駆使する新作は、腕時計デザインの有力な潮流。セルフトリビュートがブランド価値を再確認させ、上のステージに進むという好循環に、ファンの異論もない。優秀なキュレーターがいるせいか、出てくる品がどれも粒揃いである。 「ロンジン ヘリテージクラシック クロノグラフ “タキシード”」は、オリジナルに忠実なルックスで復刻されたモデルだ。伝わってくるのは第2次世界大戦終結後、1940年代の華やかな香気。当時付けられたペットネームの“タキシード”は、白と黒のツートーンの連想からなのだという。そこ...

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