旅が似合う世界時計は彩りで選ぶか、モノクロで行くか。

文:並木浩一 写真:宇田川 淳

“旅の時計”を名乗る仕掛けの腕時計は世に数ある。その中でも「エスカル オトマティック タイムゾーン」ほど人を“旅慣れて”見せる時計は稀だ。優秀な24時間ワールドタイマーを、カラフルな世界観の中に取り込み、シリアスな機能をファッションアイテムであるかのように装ってしまうルイ・ヴィトンの技は、偽悪的なほど心憎い高等テクニックである。ジュラルミン製スーツケースのように実用的でありながら、誰も真似できないセンスをもつ旅の時計は、ファッションやメディアに関わるこだわりの強い業界人ならずとも、喝采に値する。頻繁に世界を飛び回り、それを苦とせずにむしろ楽しめる“上級の旅人”のアイコンの座は、もはや不...

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