館内に3つの水辺が設けられ、そこに彩り鮮やかな晩春の花々が、生命の輝きを誇るよう咲き誇っている。奥には、そんな花々の一瞬を永遠に閉じ込め、眩いばかりに輝き続ける美しいジュエリーが並ぶ。
花々とジュエリーの類まれなる共演。これはフランスのハイジュエラー、ヴァン クリーフ&アーペルが代官山T-SITE GARDEN GALLERYで開催しているエキシビション「LIGHT OF FLOWERS ハナの光」の様子だ。
空間を演出したのは、華道家の片桐功敦。片桐がメゾンのジュエリーにインスピレーションを受け創造したのは、花をテーマとした美しく可憐で、なによりその生命の煌きと尊さを感じる空間だ。
巧妙な仕掛けで生まれた幻想的な空間
1906年の創業時より、ヴァン クリーフ&アーペルにとって創造の源であり続ける“花”。メゾンの象徴ともいえる花をモチーフとしたジュエリーに対し、片桐は「その姿勢にとてもシンパシーを感じました」と印象を語る。
「花のもつ美しさを忠実に再現しようと、精巧につくられている。生命力を感じる意匠や、花芯などの細かい表現も長い時間をかけ観察しなければできないこと。僕も花をいける際は、その花を最も美しく魅せるいけ方を考えます。生命の瞬間を切り取るいけばなと、その輝きを永遠に閉じ込めたジュエリーという違いはありますが、花に対する誠実な姿勢に共感したのです」
そんなメゾンの目線を活かすような展示を心がけたという片桐だが、単に花をいけただけでなく、そこに巧妙な仕掛けも忍ばせていた。
「僕が撮影した草花の写真を、半透明のフィルムに転写し壁に貼っています。そこに自然光が透過することで、草花の絵柄が水面に映り込む。館内には実像である花々と水面に写る虚像の草花が織りなす、幻想的な空間が生まれるのです」
会場奥に展示されたジュエリーの花々
会場奥には、よりドラマティックな空間が広がっている。波紋のような美しい起伏を描く壁面にヴァン クリーフ&アーペルが誇る歴代の名作ジュエリーから現行コレクションまでが、一堂に展示されているのだ。
“創業時からの創造の源”という通り、1930年代のブローチやネックレスにも花をモチーフとした可憐なモデルが数多く存在する。それらが80年以上を経ても輝き、瑞々しく咲き誇っている。儚く咲いた花の、その一瞬の美しさを永遠に表現するメゾンの真骨頂だ。
また、4月26日から4月28日までの20時より、片桐をはじめ、現代美術家の須田悦弘、イラストレーターの黒田潔によるオンライントークセッションも開催される。いずれも花や植物をモチーフとした作品を数多く手がけるアーティストであり、「My Vision of Flowers(私にとってのハナ)」をテーマに創作意欲を刺激する花について思いを語る。
メゾンを象徴するモチーフである花にオマージュを捧げた特別なエキシビション。本展が長いトンネルの先に見える、一筋の光となるだろう。人間では決してつくり得ない、自然が生み出す造形と色彩の美しさ。コロナ禍のいまだからこそ、そんな花の生命力を感じてみたい。
期間限定エキシビジョン LIGHT OF FLOWERS ハナの光
開催場所:東京都渋谷区猿楽町16-15 代官山T-SITE GARDEN GALLERY
開催期間:4/22〜5/9
開催時間:11時〜20時(4/26〜4/28のみ11時〜18時)
料金:無料
https://www.vancleefarpels.com/jp/ja/events/light-of-flowers-exhibition.html
オンライントークセッション My Vision of Flowers
開催期間:4/26(片桐功敦)、4/27(須田悦弘)、4/28(黒田潔)
開催時間:各回20時〜21時
料金:¥1,500(税込)
問い合わせ先/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
TEL:0120-10-1906
※いずれもヴァン クリーフ&アーペルLINEアカウント(@vancleefarpels)、またはエキシビション予約サイト、トークイベント予約サイトより事前来場予約を受付。
※新型コロナウイルス感染症対策のため、エキシビジョン会場では入場の際に人数制限を行います。また、開催日時・内容などが変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。