ビスポークされたロールス・ロイスに乗ってみると?

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    トゥカナ・パープルという特別色で塗装されたゴースト。ライム・グリーンのコントラストでまさに異次元の存在感。

    先日お伝えしたロールス・ロイスのビスポークモデル。その実車に試乗。緊張しながらもその特別な世界観と圧倒的な存在感にただただ感銘を受けました。

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    トゥカナ・パープルという特別色で塗装されたゴースト。きょしちょう座を囲む南の夜空をイメージしたパープルの外装色は特別な存在感をさらに引き立てます。

    ロールス・ロイス・ゴーストをビスポークした特別なモデル…… こんなクルマを試乗することはメディアであってもまずないのが普通です。先日、ビスポークモデルの発表会にお邪魔した時もこんなクルマにのることはない、と思っていたたあっさり3カ月後裏切られました。「乗ってみませんか」という誘いに一瞬まよった上で「1日だけなら(かなりビビっている)」という条件で特別なゴーストを試乗させてもらいました。

    本当でしたら郊外や高速も乗りたかったのですが、その希少性とお値段から都内をほぼ日帰りで試乗(根性なし)。ときどき後輩編集部員に運転してもらって後席も体験してみたのですが、すべてにわたって異次元のクルマでした。乗り込むときの特別感に加え、ドアを閉めたあとの静謐さや車内の快適さとただよういい匂い。そして柔らかな乗り心地や重厚感……ノーマルのロールス・ロイスでももちろん感じられることなのですが特別なビスポークモデルだと、その印象は2割増しくらいに重厚です(プラシーボ?)。

    運転席でハンドルを握ると世界の頂点に立ったような錯覚(妄想?)を感じ、後部座席に乗ると組織を支配している気分(妄想の妄想)になるから、人間って現金なものです。

    わずか半日、シンデレラのような夢の体験でした(小学生の感想?)。ですが、車体の細部にまで抜かりのないクラフツマンシップにも驚きました。手書きのコーチライン(車体サイドに入るストライプ)やスターライト・ヘッドライナーと呼ばれる天井の星空などビスポークモデルの特別な「しつらえ」は、まさにクルマという存在を超えています。たぶん叶うことはないでしょうが、いつか自分だけのロールス・ロイスをつくってみたいものです(現実には中古を買うのも無理でしょう)。

     

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    ライム・グリーンの差し色をインテリアとシートのステッチにあしらい特別な雰囲気に仕上がっています。唯一無二の1台を仕上げられる独創性がビスポークモデルの特長。

     

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    前後のドアが観音開きになるのもゴーストの特別なところ。こんな状態で迎えられたら、ドキッとしてしまいます。

     

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    同社のファントムに比べれば小柄ですが、全長は5,546ミリ。

     

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    グッドウッドにあるビスポークチームが仕上げる特別なモデルの証がBピラーの根本に。

     

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    室内のヘッドライナー(天井)には光ファイバーが仕込まれていて、ライトをつけると満点の星空にいるような気分になります。

     

    多田 潤

    『Pen』所属のエディター、クルマ担当

    1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。

    多田 潤

    『Pen』所属のエディター、クルマ担当

    1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。