散歩の足取りで永遠を旅する、数学者が日常を綴ったエッセイ

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)

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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『偶然の散歩』

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森田真生 著 ミシマ社 ¥2,200

「日常」と「奇跡」はかけ離れた言葉だと侮るなかれ。このエッセイを読むと、いや日常の中にこそ奇跡は潜んでいると思えてくる。著者は京都を拠点に独立研究者として数学をテーマにした講演活動を行ってきた。デビュー作『数学する身体』で小林秀雄賞を受賞。数学的な眼差しで日常を解析すると、自分の立つ頼りなげな座標軸も遥かな宇宙と連なっている。要するに、物事を量る物差しのスケールが違うのだ。歩くことは、身体の知性を鍛える。本物の知性とは、散歩する足取りで永遠を旅する技術のことかもしれない。

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※この記事はPen 2022年12月号より再編集した記事です。

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【画像】散歩の足取りで永遠を旅する、数学者が日常を綴ったエッセイ

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