恵比寿の隠れ家的なバーでジョンの命日に合わせ、ビートルズの貴重な写真を披露

  • 文:小暮昌弘

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稲田美嗣氏の写真。ジョン・レノンが歌い上げた「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の舞台になった英国・リバプールにある孤児院の門を撮ったものだ。

歴史は夜つくられるとよく言われる。そんなたいそうな話ではないが、その夜は東京・恵比寿にある、とあるバーで『ザ・ビートルズ:Get Back』の個人的な鑑賞会が開かれていた。ご存知の方も多いだろうが、この作品は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの監督として知られるピーター・ジャクソンが監督したもので、60時間以上の未公開映像と、150時間以上の未発表音源を、監督が3年をかけて復元・編集したもので、6時間を超える映像で11月25日から3日連続で配信された。その作品を、バーでみんなで観ようという夜だった。

そこに集まったひとり、友人でカメラマンの稲田美嗣氏と私は15年前、ビートルズの足跡を追うかたちでリバプールとロンドンに数日間の取材の旅に出かけたことがある。いまから16年前の2005年のことだ。リバプールではジョン・レノンが育った家やリンゴ・スターの生家などにも訪れ、夜になると早くから、通りに誰もいないリバプールの街の状況も見た。ビートルズの面々がハンブルグに演奏旅行に出かけた理由もここにある。ロンドンでは『ザ・ビートルズ:Get Back』にも描かれたサヴィルロウのアップルビルやポール・マッカトニーの家など、膨大な知識をもつガイドと一緒にビートルズにまつわる数々の名所を回った。

そのとき稲田氏が撮影した写真がまだ手元に残っているとバーのオーナーに話をしたところ、それならば12月8日の41回目のジョン・レノンの命日に合わせて、急遽、簡単な写真展をこのバーでやりましょうかという話がまとまってしまったのだ。

壁の片面はオーナー所有の膨大な量のアナログレコードが収容されているので、もう片面に2005年に稲田氏が撮影したビートルズにまつわる膨大な写真から厳選して、約10数枚のモノクロ写真が並ぶ予定だ。またその取材の折に稲田氏と行ったビートルズのミュージアムショップ(行ったその日が営業最終日だったので、もう閉店している)で、見つけたビートルズが出演したファッションブランドの広告写真も当日、展示される予定。

恵比寿の隠れ家的なバーで、ビートルズの名曲を聴きながら、ビートルズが生まれ育ったリバプールやロンドンの空気を貴重な写真とともに味わってはいかがだろうか。

『Get Back: Liverpool and London』

開催場所:Sailin’ Shoes
東京都渋谷区恵比寿西2-8-6 ウエスト2ビル B1
開催期間:2021年12月6日(月)〜11日(土)(予定)
TEL:03-3464-2433
営業時間:19時〜23時
定休日:日、祝

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります

小暮昌弘

ファッション編集者

法政大学卒業。1982年から婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『MEN’S CLUB』に。おもにファッションを担当する。2005年から07年まで『MEN’S CLUB』編集長。09年よりフリーランスとして活動。

小暮昌弘

ファッション編集者

法政大学卒業。1982年から婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『MEN’S CLUB』に。おもにファッションを担当する。2005年から07年まで『MEN’S CLUB』編集長。09年よりフリーランスとして活動。