身に着けるものへの意識が一変したいま、英国のドレスシューズの真価を改めて見直したい。これからの時代に必要なのは、さまざまなシーンを横断できる自由で軽快な一足だ。
時代とともに変化しながら、時を経ても変わらない価値観を製品に体現する――まるで矛盾のようにも感じるこうした営みが「クロケット&ジョーンズ」では、繰り返されてきた。なぜなら伝統的なブランドが未来に向けて前進することをやめ、ヘリテージだけに頼った途端、簡単に〝過去のもの〞となってしまい人々から忘れ去られてしまうからだ。
おりしも〝ステイホーム〞でリモートワークが基本となり、着飾ってどこかへ出かける機会も激減している昨今、ドレスシューズはその存在意義すらゆらいでいる状況にある。イギリス・ノーザンプトンにある歴史的なシューズブランドがいま、ドレスシューズの未来を考える必要に迫られていることは、誰の目からしても明らかだろう。
「革新」とは、常にこういったタイミングに訪れる。クロケット&ジョーンズがハルボロー・ラバー社とともに開発した「シティソール」は、伝統とともに受け継がれてきたドレスシューズの美学を踏襲し、それをどこまでも軽快に履きやすく、そしてモダンにアップデートした好例といえる。格式のある上品なルックスにかけては、レザーソールに勝るものはない。しかし滑りやすく、濡れた路面に不向きなままでは、使えるシーンがどうしても限定されてしまう。だからクロケット&ジョーンズでは、シティソールの他にも「ダイナイトソール」や「リッジウェイソール」など、特性の違うラバーソールを幅広くラインアップして、ドレスシューズが活躍できるシーンを積極的に拡充している。
クラフツマンシップという言葉からは、伝統的な製法と手仕事を尊重した、朴訥なモノづくりが連想される。それももちろん間違いではないのだが、この言葉が意味する価値観の中には、自らが培ってきたコアバリューを現代のライフスタイルへと順応させるために、常に革新を続けようとする前衛的なフィロソフィーが内包されていることを忘れてはならない。
コロナ禍で遠い存在になりかけていたドレスシューズを、毎日どこにでも履いていける身近な存在へと変容させるクロケット&ジョーンズ。〝攻め〞のクラフツマンシップに注目だ。
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