Souvenir グラフィカルな千代紙と、出合う喜び。

グラフィカルな千代紙と、出合う喜び。

いせ辰 谷中本店

いせ辰 谷中本店

エリア:千駄木

江戸が生んだアート、といえば浮世絵や錦絵を思い浮かべますが、谷中にある江戸千代紙の版元「いせ辰」を訪れると、それだけでなかったことがよくわかります。


和紙にさまざまな模様を色刷りする千代紙は京都で生まれましたが、18世紀後半に江戸に伝えられると、その頃人気だった浮世絵の木版刷りの技術を応用し、独自の発展を遂げました。当時は浮世絵師が千代紙の版元から依頼を受け、競って下絵を描いたといわれ、いせ辰が所有する図柄には安藤広重が描いたものもあります。浮世絵を愛したゴッホが、1887年の作品『タンギー爺さん』の背景に、当時フランスに輸入されたいせ辰の図柄を描いていたのもうなずけます。


関東大震災で創業以来の版木をことごとく失いましたが、他の版元が次々と廃業するなか、長い年月をかけて1000種近い版木を復刻しました。そうして甦った図柄は小紋柄から歌舞伎もの、花柄まで、どれも驚くほどグラフィカルで現代的。「天井に貼るというお客さんがいたり、自由な発想にいつも驚かされる」と、谷中店店主の高橋久子氏。思い思いの形で取り入れればいい、千代紙は日常の中で気軽に楽しむアートなのですから。


上写真:千代紙の概念を覆すモダンな花柄はラッピングに。鑑賞用の浮世絵と違い、箱に貼ったり包装に用いた千代紙は、庶民にとって装飾性と実用性を備えたものだった。

グラフィカルな千代紙と、出合う喜び。

店の奥にある、色とりどりの千代紙を陳列した引き出し棚は、デザイン好きにはたまらない。木版の手刷りは1枚¥2,625~、機械刷りは¥126~

グラフィカルな千代紙と、出合う喜び。

いまでは東京で唯一残る江戸千代紙の版元。「遠方から来る方に申し訳ない」という理由で、4代目店主・広瀬辰五郎氏の代から店は元日を除き年中無休。

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