Activities 伝統と遊び心に満ちた、下町の宿へ。

伝統と遊び心に満ちた、下町の宿へ。

鳳明館

鳳明館

エリア:春日

戸を開けると、まず丸い障子の窓が目に飛び込んでくる。

ガランとした畳の部屋に、菊の柄の赤い座布団と小さな座卓が置かれ、凝ったデザインの天井からレトロな照明が下がっています。これは、本郷の和風旅館「鳳明館」の客室「末広の間」。本館の他の24部屋と同様、半世紀以上にわたって東京を訪れる旅人をもてなしてきました。


本郷は明治の頃から帝大生などの下宿が集まる下町で、鳳明館の本館も明治30年代に下宿屋として建てられました。戦後に改装を行って旅館に転向。

その後、「要望が多くて数年前にやむを得ず客室に鍵をつけた」以外は、創業当時とほとんど変わりません。2000年には、昔ながらの歴史的景観を伝える和風建築として、登録有形文化財に指定。しかし、鳳明館は普通の和風旅館とはひと味違います。たとえば床の間。床柱には曲がりくねったものから巨大なふし付きまで、どの部屋にも個性的な銘木が惜しげなく用いられ、天井も「えびすの間」は傘を開いたような放射状のデザイン、「弥生の間」は網代模様と、それぞれ違なります。窓や廊下には、職人技を駆使したコウモリの透かし彫りやスズメの木彫り細工が、何げなく施されています。和風建築とはいえ、当時としてはかなり斬新だったに違いありません。わざわざ泊まりにくる建築ファンや研究者も多いそう。


高度経済成長期には修学旅行生や社員旅行の団体客で賑わいましたが、いまでは3割近くが外国からの旅行客だとか。細やかで徹底したサービスの京都の旅館とは違って、行き届いてはいるが自由で大らかな雰囲気があるのも、人気の理由でしょう。奥深い建築の世界を満喫しながらも、おばあちゃんの家で過ごしているような気分にさせてくれるのです。


上写真:丸い窓と天井のデザインが印象的な本館2階の「末広の間」。床の間や天井、窓のしつらえは部屋によってすべて異なる。お気に入りの部屋を指定するリピーターも。

伝統と遊び心に満ちた、下町の宿へ。

部屋や廊下の窓の桟には、さまざまな手彫りの意匠が施してある。いまではもう修理できる職人がいないので、壊れてしまった部分はところどころ「空白」になっている。

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本館の向かいにある台町別館は、個人の邸宅を買い取って旅館に改築した。入って右手奥には大きな和風の庭があり、天気のいい日は外の椅子で1日のんびり過ごす人も。

    東京都文京区本郷5-10-5
    TEL:03-3811-1181
    料金:12,600円~(2名・素泊まりの標準的な室料、シーズンによって変わります)
    http://www.homeikan.com/
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