腕時計の未来をつくる、トレンド&話題集。

過熱する「世界最薄」は、種目別の競争に移行。

上はピアジェ「アルティプラノ アルティメット コンセプト 41ミリ」。すべての質量を削ぎ落とした躯体は、体脂肪率がゼロに近いボクサーの身体のように美しい。下はオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク RD#2」。

「極薄」を競う技術的な争いが止まらない。今年脚光を浴びた品がピアジェの「アルティプラノ アルティメット コンセプト 41ミリ」。現時点で市販はされない手巻きのコンセプトウォッチではあるが、その薄さはなんと2㎜。同社のもつ超極薄ムーブメントと同じ薄さで、機械式腕時計をつくり上げたそれは、まさに偉業である。横からは切れ味の鋭いナイフのように見え、手首では皮膚に限りなく同化していく。極薄の王者ピアジェの独走はまだとどまるところを知らない。
一方で「種目別」ともいえる新記録を達成したのがオーデマ ピゲの「ロイヤル オークRD#2」である。ともすればかさ高くなる機械式で自動巻きのパーペチュアルカレンダーでありながら、その厚みはわずか6.3㎜しかない。こうした複雑機構を薄くしていくには、限りなく工作精度を高くしなければならず、それが可能になるのはオーデマ ピゲの技術力の賜物。現時点で「世界最薄のセンターローター自動巻きパーペチュアルカレンダー」は、その座を脅かすことが困難な傑作だ。