本誌では書けなかった裏エピソード

空虚な25時間30分を埋めてくれたのは、あのゲーム。

担当:編集K
世界遺産名:小笠原諸島
父島に行くには、東京港竹芝と父島二見港間を結ぶ定期航路の「おがさわら丸」に乗るしか方法がありません。
おがさわら丸はおよそ週一回の運行予定で、片道約1,000キロを25時間30分で運行するフェリーです。約1日の移動時間を船上でどのように過ごすか、これは重要な問題です。おがさわら丸には、特等・特1等・1等・特2等・2等の船室があり、それぞれ運賃が異なります。取材班が選んだのは、もちろん「2等」。会社員である以上、経費は最低限に抑えるのが義務ですから(ちなみに、2等の片道料金は¥22,870)。2等の船室は定員543名の大部屋です。自由席ではなく、一応、指定席になっています。 船に乗り込む順に整理券が渡され、その番号の場所が自分の席となるわけです。



倉持 空虚な25時間30分を埋めてくれたのは、あのゲーム。

といっても、そこにあるのは簡易的なマットレスと枕、毛布だけ。船が動き出すやいなや、寝転がって読書をする人、カップラーメンをすする人……。気づけばこの大部屋は、学生時代の部室のような空間になっています。かくいう私はといいますと、陸地から遠く離れるまでのWi-Fi環境下では、共有のスペースでノートPCを開き原稿の整理を。そのあとはひたすらスマホで桃鉄(=桃太郎電鉄。ボードゲームの名作)をプレイしていました。20年モード(←けっこう時間がかかる)を幾度となく繰り返し、大部屋に戻ったのは消灯時間を回った23時30分。あっちでガーガー、こっちでギリリ。おがさわら丸のエンジン音にも勝るとも劣らないイビキや歯ぎしりの音を遮断すべく、与えられたマットレスの上でイヤホンを耳に装着し、再び桃鉄に明け暮れたのでした。

倉持 空虚な25時間30分を埋めてくれたのは、あのゲーム。