いま気になるのは、
MOPダイヤルの腕時計。

写真:宇田川淳 文:笠木恵司
協力:遠藤和呼

MOPダイヤルとは?

高級腕時計のダイヤル(文字盤)が華やかになってきました。これまではメタリックなシルバーやホワイト、それにブラックが主流でしたが、ここ数年はグレーに加えてブルーやブラウンも定番化。さらにピンクやレッドなどの原色も登場しているほか、塗装技術の発達を背景として、鮮やかな発色のダイヤルも少なくありません。 そんな中で人気を高めているのがMOP、マザー・オブ・パールです。文字通りに真珠を育成する母貝であり、その裏側の真珠層を薄く切削してダイヤルに加工します。アコヤガイ、白蝶貝、黒蝶貝などが一般的ですが、その種類や産地、採取する貝殻の部位によっても色はかなり異なります。裏側から人工的に着色するケースもありますが、天然素材であるため、光沢や色合いがまったく同じものはなく、いわばオンリーワンの希少性も魅力といえるでしょう。レディスモデルでは一般的な素材でしたが、近年はメンズにも広がっており、ベーシックな3針だけでなく、クロノグラフなどのスポーツモデルやコンプリケーションでもMOPダイヤルを採用し、虹色の神秘的な光沢がもたらすラグジュアリー感を楽しめるモデルが増加しています。