BREAK THE RULES

ROYAL OAK DOUBLE BALANCE WHEEL OPENWORKED ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール・オープンワーク

ROYAL OAK DOUBLE BALANCE WHEEL OPENWORKED

息をのむほど美しい、華麗なるオープンワーク

ヒゲゼンマイ付きのテンプを2枚備えた「ダブルバランスホイール」を8時位置に大きくレイアウト。その往復振動はまさに心臓と呼ぶにふさわしい。これを取り巻くブリッジなどのパーツは強度の限界まで削ぎ落とし、すべて手作業でていねいに仕上げている。息をのむほど美しいオープンワークに時を忘れて見惚れてしまう。自動巻き、パワーリザーブ約45時間、ケース径41㎜、ケース&ブレスレットともに18Kピンクゴールド(アプライドのアワーマーカーと時・分・秒針も)、5気圧防水。¥8,262,000

機械式時計は、車輪のような形のテンプ=バランスホイールが往復振動することで秒が刻まれる。主ゼンマイの回転エネルギーは脱進機(ガンギ車とアンクル)を経てテンプを一方向に振るのだが、これに取り付けられたヒゲゼンマイが逆方向に戻す力となる。それによってテンプは左右の往復振動を繰り返すことになり、それが振り子と同じ働き=等時性をもたらすわけだ。このテンプの振りに応じてガンギ車の歯車を1つずつ送ることで、一般的には6振動または8振動で1秒となる。秒針が小刻みに進むのもそのためだ。
要するにヒゲゼンマイ付きのテンプが時計の精度を担っているのだが、この仕組みが考案されたのはなんと17世紀。永く基本的な構造が変わることはなかった。ところが20世紀の終わり頃から時計の心臓部が改良されるようになり、オーデマ ピゲでもエネルギー伝達効率を高めた脱進機「オーデマ ピゲ エスケープメント」を開発している。さらに等時性=調速に関わるテンプ自体の構造を革新したのが「ダブルバランスホイール」なのである。

男心を魅了する、機械式メカの小宇宙。

この名称でわかるように、2枚のテンプを同軸でつなげたものだが、それぞれに付いているヒゲゼンマイは互いに逆向きになっている。
「従来の2倍の重さのテンプが往復振動するので外因の影響を受けにくい。さらに2つのヒゲゼンマイが交互に伸縮を繰り返すため、それぞれが補完し合うこととなり、高い精度を永続的に維持できるのです」と、グローバルブランドアンバサダーを務めるクローディオ・カヴァリエールは説明する。
軽い車輪よりも重い車輪のほうが転がしにくいが、いったん動き始めれば止めにくくなるのと同じと考えてもいいだろう。実際に、製作工程と初期調整は非常に難しいが、1枚のテンプに比べて精度が約30%も向上したというから驚かざるを得ない。
この「ダブル バランスホイール」は2010年に特許を取得した世界初の機構だが、これをダイヤルプレートのないスケルトンで前面に配置したのが「ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール」だ。通常は裏側にあるテンプを主役のようにアレンジしており、特別設計のムーブメントであることがわかる。しかも、ブリッジなどが巧妙な曲線でデザインされているのだ。
「いかに優れた機構でも、オープンワークで内部を見せるのであれば、すべてが美しくなければなりません。仕上げにしても、機械を使った面取りは甘くなるので、すべて手作業で行います。それによる曲面はどんな角度からも光を反射するため、立体的で奥行きが感じられる内部になるのです。オープンワークは他のモデルにもありますが、個性に応じて面取りの幅を変えたり、サンドブラストなどのテクニックを使い分けています」
時計の8時位置で規則正しく往復振動する「ダブル バランスホイール」と、その動きに呼応して時を刻んでいく長い秒針。男心を魅了し続けて飽きることのない、華麗なる機械の小宇宙といっても過言ではないだろう。

ダブル バランスホイール。自動巻きムーブメントの傑作「キャリバー3120」のテンプを使用。2010年に特許を取得したが、製品化するまでに5年かかったという。
オーデマ ピゲ スイス本社
グローバルブランドアンバサダー
クローディオ・カヴァリエール Claudio Cavaliere 1972年、ジュネーブ生まれ。機械工学と経営学を専攻した後、1997年より時計ブランドのプロダクトマネージャーを歴任。2007年にオーデマ ピゲに入社し、プロダクト製造のトップ、続いて商品マーケティングのトップに就任。2014年より現職。