特徴的な燃料タンクやバーエンドミラー! トライアンフの名車「スピードツイン」が、ニューモデルとして復活。

  • 文:サトータケシ

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クラシック・ミーツ・モダン。すっきりとした現代的な佇まいに、格調の高さが融合している。

1937年に発表されたトライアンフの「スピードツイン」は、モーターサイクルの歴史を変えたエポックメイキングなモデルです。単気筒エンジンが主流だった当時、同社初の2気筒(ツイン)エンジンを搭載し、最高時速150kmというパフォーマンスで人々を驚かせました。大げさに言えば、簡便な移動の道具だったモーターサイクルを、走る喜びを与えてくれるカッコいい乗り物に引き上げたのがスピードツインでした。

性能面だけでなく、トライアンフのモーターサイクルは見る者の心を震わせるデザインにも特徴がありました。その証拠に、映画『大脱走』ではスティーブ・マックイーンが、映画『乱暴者(あばれもの)』ではマーロン・ブランドがまたがり大活躍。当時の若者たちの憧れの存在になったのです。特にマックイーンは、プライベートでもスピードツインを愛用していたことで知られています。そのスピードツインの名称が、約80年の時を経て復活しました。新しいスピードツインを紹介する前に、昨今のモーターサイクルのトレンドに触れたいと思います。

2000年代に入ってからのモーターサイクルのトレンドは、ネオクラシックと呼ばれる少しレトロなテイストが主流です。その背景にはスペックにこだわりすぎたスーパースポーツから、ライダーの心が離れてしまったという事実があります。それに代わって、ライダーとモーターサイクルがもっと親しい関係だった頃のテイストに回帰したのです。

ネオクラシックというカテゴリーが生まれるきっかけとなったのが、トライアンフが発表した「ボンネビル」や「スクランブラー」といったモデル。トライアンフは「モダンクラシック」というラインを立ち上げ、各社がネオクラシック市場に続々と参入して現在に至っています。

そしてこのモダンクラシックというラインから、モーターサイクルの歴史を変えたスピードツインという名称が復活したのです。特徴的なタンクの造形を筆頭に、全体のフォルムは筋肉質。そこにバーエンドミラーやミニマルなリアエンドの意匠が合わさり、モダンとクラシックが調和したスタイルが完成しました。

しかも新生スピードツインは、単なる名車の復刻版ではありません。ルックスは初代のテイストを踏襲しながら、1200ccのパラレルツインエンジンはボンネビルシリーズの中でも高出力のもの。専用に開発した新フレームは、高性能のフロントフォークやツインリアサスペンションユニットと組み合わされ、シャープなハンドリングを実現しました。もちろん、ABS(アンチロックブレーキシステム)やトラクションコントロールといった電子制御デバイスも完備。新型スピードツインには、最新のスポーツバイクのパフォーマンスが与えられているのです。

そう、ルックスこそクラシックですが、他車を圧倒するパフォーマンスを発揮する点においては、初代スピードツインと同じスピリットが流れています。ちなみに新生スピードツインも、映画に“出演”する予定があるとか。カッコいい憧れの存在であり続けるという伝統も、しっかりと引き継がれているのです。

デザインを特徴づける燃料タンク。モンツァスタイルロッキングフィラーキャップも印象的だ。

クラシックな仕様のバーエンドミラー。ハンドルのスイッチで3種類のドライブモードを選べる。

エンジンはボンネビルシリーズの「スラクストン」と同じ高出力チューンの1200ccを搭載。

フロントブレーキにはブレンボ製の4ピストンキャリパーを採用。圧倒的な制動力を発揮する。

トライアンフ 新型スピードツイン

●サイズ(全幅×全高):760×1110mm
●エンジン形式:水冷並列2気筒SOHC
●排気量:1200cc
●最高出力:97PS/6750rpm
●車両価格:¥1,600,000(税込)~

問い合わせ先/トライアンフコール
TEL:03-6809-5233
www.triumphmotorcycles.jp