17年ぶりに復活するトヨタのFRスポーツカー! 新型「スープラ」が叶える、大人のクルマ選びとは。

  • 文:サトータケシ

Share:

トヨタ・ガズー・レーシングが展開する、スポーツカーのシリーズ「GR」初のグローバルモデル。「ル・マン24時間レース」での優勝など、輝かしい戦歴を誇るガズー・レーシングのノウハウが注入されている。

2018年末、トヨタ「GR スープラ」のプロトタイプをサーキットで試乗した時に、大げさではなく背筋がゾクッとしたことを覚えています。ヌケのよい乾いた快音とともに回転を上げるエンジン、クルマが身体の一部になったように感じる操縦性――。いつまでも走り続けたくなる、そんな思いに駆られました。

プロトタイプに試乗した時点ではまだボディと内装にカモフラージュが施され、デザインを確認することはできませんでした。2019年1月のデトロイト・モーターショーでアンベールされた新生スープラは、デザインでも人々の心をガッチリとつかみます。ひと事で言えば「カッコいい!」という表現になりますが、スープラのデザインの特徴は、そのカッコよさに理由や根拠があるということです。

1978年のデビュー以来、スープラというモデルは、直列6気筒エンジンを積むFR(フロントエンジン後輪駆動車)であることをアイデンティティにしてきました。新型スープラも、比較的全長の長い直列6気筒エンジンを収めるロングノーズが目を惹きます。一方で、2シーターと割り切ることで乗員が座るキャビン部分はタイトな設計となり、真横から見ると前輪と後輪の間隔(ホイールベース)が短い、いかにも俊敏に走りそうなフォルムとなっています。正面に回ると、車高の低さのわりに左右のタイヤの間隔(トレッド)が広いことに気づきます。低くワイドに構えたスタンスは、安定したフォームでコーナーをクリアする様を予感させます。つまりスープラがカッコよく見えるのは、パワフルなエンジンを積み、俊敏かつ安定して走ることをカタチとしても表現しているからなのです。

加えて、新型スープラのデザインには物語も織り込まれています。ふたつのコブがあるように見える“ダブルバブル”のルーフは、空気抵抗を減らす目的とともに、トヨタ「2000GT」へのオマージュでもあります。ヘッドライトを車体中央に寄せて、左右のフェンダーの豊かな抑揚を強調するデザイン手法は、2000GTや2002年まで生産された先代スープラを彷彿とさせるもの。つまり、トヨタのヒストリーを体現するデザインでもあるのです。

今回の新生スープラには、BMWとの協業で生まれたという背景があります。ある時点までは共同で開発を進め、仕上げや味つけはトヨタとBMWがそれぞれ独自に行いました。19年春と言われる日本でのデビューにあたっては、この異色の組み合わせによる共同製作の成果について、さまざまな意見が飛び交うことが予想されます。操ること、眺めること、そして語ること――。新型スープラには、クルマを楽しむ3つの要素がすべて揃っているのです。

スポーツカーのパフォーマンスを決める「ホイールベース」「トレッド」「重心高」の3要素を最優先して設計。コーナリング性能を左右する前後の重量バランスも、理想とされる50:50を実現した。

強力なエンジンをボンネットに積む、FRらしい“ロングノーズ・ショートキャビン”の特徴的なサイドシルエット。

“ダブルバブルルーフ”の形状がよくわかるバックショット。抑揚に富んだリアフェンダーがアスリートの筋肉を思わせ、後輪で力強く地面を蹴るFRであることをアピールする。

ドライバーを包み込むように設計された、タイトで機能的なコクピット。TFT液晶ディスプレイによるメーターパネルやヘッドアップディスプレイなどが、新世代のスポーツカーであることを主張する。

トヨタ GR スープラ RZ

●サイズ(全長×全幅×全高):4380×1865×1295mm
●エンジン形式:直列6気筒DOHCツインスクロールターボ
●排気量:2998ℓ
●最高出力:340PS/6500rpm
●駆動方式:FR(フロントエンジン後輪駆動)
●車両価格:未定 ※日本での発売は2019年春頃を予定。

●トヨタ自動車 お客様相談センター
TEL:0800-700-7700
https://toyota.jp