「タグ・ホイヤー」から画期的なトゥールビヨンが登場! カーボンがついに時計の心臓部にまで採用されました。

  • 文:笠木恵司

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タグ・ホイヤー「カレラ キャリバー ホイヤー 02T トゥールビヨン ナノグラフ」。ナノスコピック(1㎜の100万分の1)のヘキサゴン(六角形)パターンが結合したカーボンコンポジットをヒゲゼンマイに採用したトゥールビヨン。

世界で初めてヒゲゼンマイをカーボンコンポジット製にした画期的なトゥールビヨンが、タグ・ホイヤーから登場しました。ヒゲゼンマイとは、機械式時計の心臓部で精度を司る最重要なパーツです。いわば心臓の筋肉を、軽量で屈強なハイテク新素材に置き換えたと表現できるかもしれません。

これまでヒゲゼンマイは、鉄にニッケルやクロムなどを配合したエリンバーが一般的な素材でした。近年は非金属のシリコンを採用したムーブメントも目立ちますが、タグ・ホイヤーはカーボンコンポジットを採用。ナノスコピック(1㎜の100万分の1)という超微小な世界で、炭素分子などをヘキサゴン(六角形)パターンで結合した先端素材です。軽量で強度が高く、重力や衝撃の影響を受けないなど、時計の精度に直結する優れた特性を持つほか、非金属なので完全な耐磁性も備えているそうです。

このまったく新しいヒゲゼンマイを搭載した新作が「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02T トゥールビヨン ナノグラフ」です。オープンダイヤルから見えるプレート(地板)のヘキサゴンパターンは、前述したカーボンコンポジットのヘキサゴン構造を象徴しており、自動巻きのローターにも同じパターンの装飾が施されています。

ケースはチタン製ですが、タキメーターを刻んだベゼルもカーボン製で、鮮やかな色彩のネオングリーンを要所に配置。1分間に1回転する6時位置のトゥールビヨンのキャリッジが印象的なアクセントになっています。前面にブリッジのないフライングタイプを強調するだけでなく、クロノグラフ関連の機構にも彩色。視認性にも寄与しています。

また、トゥールビヨンキャリッジの背後にあるアルミニウム製テンプ(バランスホイール)には蓄光式蛍光(スーパールミノバ)を塗布。明かりの乏しい夜間でも、往復振動する動きがわかります。COSC(スイス公式クロノメーター検定協会)の審査をクリアした高精度と、メカを強調したスタイルに添えられた知的な遊び心と解釈できそうです。

最初は炭素繊維として時計のダイヤルプレートに採用されたカーボンは、やがて圧縮鍛造(フォージド・カーボン)などによってケースにも導入されました。それがとうとう心臓部にまで達した記念碑的なモデルですが、タグ・ホイヤー研究所のCEOギィ・セモン氏は「まだ開発中のプロセスの向上へと導く第一歩です」と話します。いずれにしても、絶えざる革新に向けて意気盛んなタグ・ホイヤーのアヴァンギャルド性を、ヘキサゴンの六角形がシンボリックに表現した次世代モデルといえるでしょう。

トゥールビヨンは前面にブリッジのないフライングタイプ。そのキャリッジを鮮やかなネオングリーンに彩色しているほか、背後のテンプ(バランスホイール)には蓄光式の蛍光(スーパールミノバ)を塗布。明かりの乏しい夜間でも、カーボンコンポジット製ヒゲゼンマイを搭載したトゥールビヨンを感じられる「遊び心」といえそうです。

ケースバックから見える自動巻きローターにもヘキサゴン模様が施されています。

「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02T トゥールビヨン ナノグラフ」。クロノメーター認定トゥールビヨン。クロノグラフも搭載(30分積算計、12時間積算計)。自動巻き、ケースはブラックPVDチタン、ケース径45㎜、パワーリザーブ約65時間。2,964,600(税込予価)、5月発売予定。

問い合わせ先/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン  タグ・ホイヤー

TEL:03-5635-7054