タンスの裏にもするりと潜りこむ、華麗なる掃除機。
家電コンシェルジュ
concierge 神原サリー Sally Kamihara
新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立し、豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信。2015年2月、表参道に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。

青野 豊・写真
photographs by Yutaka Aono
パナソニック コードレススティック掃除機 イット
Stick Cleaner MC-BU500J iT

タンスの裏にもするりと潜りこむ、華麗なる掃除機。

シンプルでスタイリッシュなデザインも魅力(写真はハンディ使用時)。想定価格¥80,000

パナソニックから発売されたコードレススティック掃除機の名前は「iT(イット)」。この製品が壁に展示されているのを初めて見た時、その斬新な姿に言葉を失った。ネーミングの通り、2本の掃除機がIとTの字に並んでいたからだ。Tは一般的だとしても、ヘッドが装着されたままでIというのは珍しい。驚くほど細く、一直線に収まっているこの掃除機の構造はどうなっているのだろうと。そう、この「I」にこそ、今回の掃除機の大きな秘密が隠されていたのだった。

「iT」の開発コンセプトは、すき間や壁際もノズルの付け替えなしに〝ひと拭きお掃除〞を可能にするというもの。そこで採用されたのが、手首をくるっとひねって半回転させるだけで変形し、すき間にも楽々入っていけるノズルの仕組みだ。実はこれ、旧三洋電機の掃除機で評判だった「逆立ちパワーブラシ」がもとになっている。コードレススティックタイプを採用するにあたっては、ノズルのスリム化と軽量化が必須となるため、強度を上げたプラスティックを使い、ブラシやモーターもすべて新しく設計し直したという。 

また、壁に当たるとノズルの先端が開いて、一度でしっかり掃除ができる「ガバとり」機能も搭載。こちらも旧三洋の人気機能を取り入れたものだ。パナソニックならではの開発力や技術力によって、2つの機能がブラッシュアップされ、新製品のコンセプトの中核を成すものとして蘇ったことは、興味深い。美しい「I」と「T」を実現させるべく、壁かけの充電器も本体に合わせて約7㎝で、コンセントプレート幅とほぼ同じ。操作部はすべて本体側面などに配しているため、壁かけ時には一切ボタンが見えない工夫がされており、デザインもぬかりない。ヘアラインシボと高輝度メタリック塗装の金属感も印象的だ。 

同社デザインセンターの山本侑樹氏は「ムダを削ぎ落とし、用途に特化した造形を究めているのが『道具』。そんな道具としての持ちやすさを追求するために、グリップの形状や材質にとことんこだわった」という。実際に使ってみるとIでもTでも、ハンディとして使う際にも、持ち手がしっくりと収まる場所があり、絶妙な馴染み感があるのがわかる。ハンドルの先端にラバーが施されているため、すべることなく壁に立てかけて置けるのも便利だ。

開発から1年半でここまで仕上げたのは、同社としても異例のスピードとのこと。一気に成熟しようとしているコードレススティック掃除機市場への〝本気さ〞ゆえだろう。シルバーブラック、ブロンズブラウン、レッドブラックの3色展開でインテリアに合わせて選べるのもいい。使いやすさと美しさを両立させたiTから目が離せない。

タンスの裏にもするりと潜りこむ、華麗なる掃除機。

スマートなヘッドが自在に動くことで、ノズルを付け替えることなく壁際やすき間をするすると進んでくれる。

※Pen本誌より転載
タンスの裏にもするりと潜りこむ、華麗なる掃除機。