今日もチェックポイントを“仮想通過”!? ルノーのトゥ...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第58回 Renault Twingo GT / ルノー トゥインゴ GT

今日もチェックポイントを“仮想通過”!? ルノーのトゥインゴ GTで東京ラリー日和!

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

限定車だったトゥインゴ GTが正式なカタログモデルに。試乗車の5速マニュアルの他にも、ルノーのデュアルクラッチ(偶数段と奇数段を交互に使用してシフトスピードを高速化する変速機)による自動変速、6速EDCもラインアップ。これだけ楽しいクルマなのだから、タコメーターをはじめ、純正アフターパーツの充実を切に願いたいね。

今回、トゥインゴ GTで東京都内を走ってみて、改めて痛感したことがあります。それは首都・東京において、車体の小ささは絶対的正義であるということ。普段、ロケや打ち合わせで自分のクルマを運転する時は、目的地へのアクセスは幹線道路から最短で行けるルートを想定してきた。できるだけ横にそれる知らない小道には入らない。これは10代の頃から東京でクルマを使い続けてきた身からすると無意識でやっていることで、初めての道をナビの指示するままに入っていって、袋小路に迷い込むという最悪の事態を避けたいがためなんだ。ハラハラしながらT字路で切り返しを繰り返したり、電柱とギリギリで対向車と擦れ違うぐらいだったら、多少の遠回りは厭わない。そんな感じになるよね。

でもトゥインゴ GTぐらい小さくなると、それまで無意識で真っ赤にアクセス不可にしてきた道がいっきにオールグリーンになる(笑)。どこでも入っていけて、どんな狭いコインパーキングでも気兼ねなく停められる。袋小路に行き着いても楽勝でUターンできる。不意の渋滞でも、さっと初めての横道に入れる全能感。東京の袋小路において、小さな車体はたぐいまれなる運動性能のひとつと言っても過言じゃない。で、本題は、その全能感をてんこ盛りの喜びに変えるのはマニュアルシフトってことなんだよね!  小刻みな左手のシフトワークと3ペダル操作。飛ばさずにいつでも加速できる状態をキープするだけで、気分は次のコーナーを攻めるレーサー気分ですよ(笑)。トゥインゴ GTはそんな東京の仮想路地裏ラリーにうってつけってわけ。

RR(リアエンジン・リアドライブ)のチョロQ感覚で、その走りはクイック&スムース。今回出たGTは馬力、トルクともにノーマルから増強されたパワーはわずかなんだけれど、エントリーモデルで気になっていた足回りが40%!も引き締められて、走りはスポーティにモディファイされたって感じ。手応えがある合金のシフトノブをスパッと入れて、幹線道路に出たらアクセルはベタ踏み!  首都高に入ったらアクセルはベタ踏み!  シフトチェンジの瞬間、シュパッとターボの吸気音が聞こえてきちゃったりして、「Yes!!」ってなもんですよ(笑)。この小さなボディで、エンジンを使い切っている全開感がたまらないよね。

いまどき(いろんな意味で)怖くて、東京でアクセルをベタ踏みできるクルマなんかないでしょ。トゥインゴ GTはアダプティブクルーズコントロール(定速走行・車間距離制御システム)だの、レーンキープアシスト(車線逸脱防止支援システム)だの安全快適装備は一切付いてない(笑)。でも都市を駆け抜ける自由さと、元気に全開できる楽しい走りは、ひと際輝いて見える。この手のクルマをつくるルノーのモータースポーツ部門、ルノー・スポールの熟練の感性も感じられるよね。個人的には「あなたは大人でしょ!?  お楽しみは自分の責任で」と、映画『パリジェンヌ』のカトリーヌ・ドヌーヴに言われている感じもあるね(笑)。ハンドルを握ればもちろん、「ウィ、マドモアゼル」ってなもんですよ。

ルノー トゥインゴ GT
●エンジン:0.9ℓ直列3気筒ターボ
●出力:109PS
●トルク:170Nm
●トランスミッション:5速MTまたは6速EDC
●車両価格:¥2,290,000(税込)~

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