復刻デザインに秘めた、最先端技術。

  • 写真:岡村昌宏(CROSSOVER)
  • 文:まつあみ靖

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vol.02
マテリアルを追求した、美しさの神髄。

復刻デザインに秘めた、最先端技術。

写真:岡村昌宏(CROSSOVER) 文:まつあみ靖

写真右:キャプテン クック オートマティック 自動巻き、ステンレススチールケース&ブレスレット、ケース径42.0㎜、パワーリザーブ約80時間、20気圧防水。¥226,800(税込) 写真左:キャプテン クック オートマティック 1962 リミテッド エディション 自動巻き、ステンレススチールケース、ケース径37.0㎜、ブラウンレザーストラップ、パワーリザーブ約80時間、10気圧防水。¥237,600(税込)

昨年発表された、ウォッチ以外のジャンルで活躍する6人のデザイナーとコラボした『ラドー トゥルー・デザイナーズ・コレクション』は、ラドーのデザインに対する革新的なスタンスを印象づけた。日常と非日常の境界を越えるようなデザインで知られるファッションブランド『アンリアレイジ』の森永邦彦氏は、紫外線量で透明から黒へと変色するフォトクロミック技術を導入したダイヤルを手がけた。
「光は自分の服のデザインにおいても重要なテーマ。ダイヤルの色の変化で時間の流れを表現したかったのです」
そんな森永氏の目に、1960年代のオリジナル『キャプテン クック』を忠実に復刻したケース径37㎜の限定モデルと、現代的なテイストを加えてケース径を42㎜にサイズアップしたモデルはどのように映ったのだろうか。
「祖父はエンジニアとして新幹線の軌道開発に携わった人でしたが、ちょうどこの限定モデルのような文字盤カラーのラドーの時計を着けていました」
オリジナルモデルの設計図は、ラドー本社が洪水の被害に遭った際に消失したため、本社に残っていたオリジナルの実機の構造をスキャニング技術によって解析し、完全な復元が実現した。
「単なる復刻にとどまらず、最先端技術によって当時の姿を再現しているというところが興味深いです」
イノベイティブな要素を自身のブランドのデザインにも積極的に取り入れている森永氏のクリエイションにも、一脈通じるものがありそうだ。またラドーを象徴する、動く錨のシンボルの背景部分もオリジナル同様ルビーを採用するなど、ディテールへの気配りも、「神は細部に宿る」を信念とする森永氏に響いたポイントだ。「製作プロセスからディテールに至るまで、知るほどに発見があり、惹かれていく時計ですね」と森永氏は目を細めた。

わずかに盛り上がったボンベ状の文字盤や、サンブラシ仕上げのブラウンカラー、また針の形状までもオリジナルを忠実に再現している。

リミテッドエディションにはレザー製トラベルポーチとステンレススチール製ミラネーゼブレスレット、NATOストラップが付属する。