60年の時を経て、風格を増した限定モデル

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    OMEGAオメガ

    60年の時を経て、風格を増した限定モデル

    岩崎 寛(STASH)・写真
    photographs by Hiroshi Iwasaki
    並木浩一・文
    text by Koichi Namiki

    世界の‟オメガマニア”が色めきたったのは、今年の新作が発表された瞬間からのことだ。同じ1957年に発表された、永遠のロングセラー3種を揃えて復刻するプロジェクト。トリロジー、三位一体と呼ばれたそのうちの一本が、『オメガ1957 トリロジー レイルマスター マスター クロノメーター』である。

    それぞれに熱狂的なファンをもつ腕時計の周年限定は、成功が約束されたスターである。並び立つ「スピードマスター」「シーマスター300」と、シリアルナンバーを揃えたボックス付き3本セットも製作されたほどだ。単体での限定数は、各3557本。世界にあまねく存在するマニアと日本への割り当てを考えれば、十分な数とは言えないだろう。その中でも特別な「レイルマスター」は、飛び切りの注目モデルだ。

    オリジナルは、磁場の発生する職場で働く人々を想定した腕時計だった。高い実用性と渋い佇まいを備えた完成度の高い「レイルマスター」は、ことさらに派生モデルを生むこともない通好みの品。オメガの名品の中でも独自の存在感は不変であり、ヴィンテージ市場でも評価が高い。「60周年限定モデル」は、その際立った個性を再確認させる。

    タキメータも回転機構ももたないスムースベゼルは、控えめでファッションを選ばない。経年したようなテクスチュアのブラックトロピカルダイヤルに、灼けた色の夜光塗料を仕込むトライアングル・インデックス、アロー針。1957年のリアルは、現代のモードに確実に映える。

    一方、メカニズムは未来的な高性能を誇る。自社製ムーブメント「8806」を搭載。耐磁性能は、なんと15000ガウス。公式に耐磁を名乗れる基準の100倍を超えている。スイス政府機関METASが最高の精度・性能を認定する「マスター クロノメーター」の称号も得た。60年を超えて甦った名機は、再び伝説になり得る風格を見せるのである。

    オメガ 1957 トリロジー レイルマスター マスター クロノメーター

    自動巻き、コーアクシャル エスケープメント搭載自社製ムーブメント、政府機関METAS認定のマスター クロノメーター、SS、ケース径38㎜、パワーリザーブ55時間、耐磁性能15,000ガウス以上、SS製ブレスレット、60m防水。¥788,400(税込)
    オメガお客様センター TEL:03-5952-4400