経年変化を楽しむ、ハイスペックなブロンズ時計。

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    ボール ウォッチの存在感は、腕時計の世界でも独特なものだ。19世紀に創業した米国鉄道時計をルーツとする特別な出自が、このブランドの運命を決定づけている。人命を預かる鉄道の安全な運行のため、絶対の正確さを要求された時計。ボールウォッチはいまも、ミッション遂行のためにあらゆる手段を尽くしているように見える。タフでありながらスタイリッシュなファッション的価値に皆が目をつけている一方で、ボール ウォッチの身上は性能・機能至上の行動原則にある。

    「エンジニアⅢ ブロンズスター」はそうしたアンビバレンツな魅力が両立した新作だ。ここ数年で人気が急上昇しているブロンズ素材に取り組んだ。ただしここでも同社らしく、実用性も加味し、マテリアルを吟味している。採用されたのは〝アルミニウムブロンズ〞。銅とスズの合金であるブロンズとは異なり、銅とアルミニウムの合金であることから硬く、腐食にも強い。新品時の光沢を楽しんだ上で、ゆっくりと進行するエイジングを愛でていく、そんな付き合い方が可能な時計である。

    風雅な素材を用いながら、性能は決して譲らないボールウォッチの倫理観は不変である。8万A/ⅿという、飛び抜けて高い耐磁性は〝ミューメタル〞製のインナーケースでムーブメントを包む入念な構造によるものだ。また独自の耐震システム〝Spring LOCK〞は、精度へ大きな影響を及ぼすひげゼンマイを護り、衝撃を66%もカットする。

    そしてお家芸である〝マイクロ・ガスライト〞。独創の技術によって三重水素を密閉した自発光するカプセルは、蓄光とはまったく異なり、いかなる状況下でも時刻を正確に読み取らせる。そのカプセルを12時間にひとつずつ、そして時分針に計14個仕込んだ。どれも看板になる技術をフル装備しながら、価格も適正。話題のマテリアルで造られた機械式腕時計は、ボール ウォッチの新たなスターである。