まるで忖度しないね!? ポルシェらしさを貫き、新型パナ...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第41回 Porsche Panamera Turbo / ポルシェ パナメーラ ターボ

まるで忖度しないね!? ポルシェらしさを貫き、新型パナメーラは未登峰の頂へ。ライク二宮尊徳、スーザン・ソンダク!

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー・カマロ改。手に入れて9年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

もし本気で手に入れるのなら、流行の4WSであるリアアクスルステアリングと3Dサラウンドシステムはオプションでつけたいところ。前者は言わずもがなだけど、この音響システムはヤバい! バスドラの音だって粒立って聴こえてくるぐらいライブ感がすごい。

そもそもポルシェは走りありき。何人乗りで車型はこうだから「こんな走りにしたい」という絵を描いて、その走りを実現するための駆動方式とエンジンが導きだされる。こんな走りとはポルシェがポルシェらしく走る、ストイックでレーシーな走りのこと。ガツンとどの速度域からも強力に加速できて、かつ減速できて安定して停車ができる。ポルシェの場合、これがハンドルを握ればボディスーツを着たように、パワーや可動範囲が領域やゾーンとなって体感できるんだ。その走りにファンタジーを当てにするような甘えは一切ない(笑)。

911シリーズのハードコア・モデルになると、ちょうど陸上アスリートがコンマ何秒かの世界を短縮するために、自分の筋肉ひとつひとつの動きを明確に知覚するように、ドライバーは全身でクルマの挙動を把握できる。これがそもそもポルシェの理想としてあるんだ。身体感覚の延長であり、より身体にフィットしたボディスーツのようにクルマが機能すること。この新しいパナメーラはそもそもその理想値が、我々の想像を超えて(笑)、高かったんだな。ため息つきつつ、「ここまでポルシェらしさにこだわるとは」って感じなんですよ。

4座になれば車両は大きくなり、車重も増える。高級スポーツカーメーカーだから、軽量化のために車内をペラペラにして美観を損なうことも出来ない訳だけど、でもこのパナメーラがポルシェらしかったのは、決して高級サルーンのような方向性にはいかなかったってことなんだ。つまり重い車重を意に介さない強力な心臓で、次元の違う世界に誘うというような高級車独特のファンタジーを当てにしたところがない。先代のコンセプトはほぼほぼ「4座のポルシェ」で成功したし、主要マーケットであるアメリカ市場を意識したV8エンジン感もあった。でも「ポルシェらしさ」が物足りない、とポルシェ自身は判断したんだろう。ま、正確に言うと新型に乗れば、物足りないと感じていたのがすごくよく分かるんだな(笑)。

ボディスーツの理想の領域はより明確になり、その身体はぐっと絞られた。新シャーシで剛性がちがちのボディにロングホイールベースで、抜群の安定感をはかる。アイドリングの音はより抑えられた低音で水平対向エンジンをほうふつさせ、アクセルを踏むときっちりポルシェの世界に入ってくる。ただ流しているときでさえ、「腹にいちもつ」という感じでスピードに乗れてるときのタイトな領域を予感させるのが、ポルシェらしさだよね。先代と明らかに違うのは、この渇きにも似たスピードへの欲動を抱えてて、クルマに対してもドライバーに対しても手綱を緩ませることがない点なんだと思う。

それとパナメーラ独特の世界観だよね。嵐の前の静けさとダイナミズム、遠雷が聞こえてくるようなバックファイヤーの音とか、意図された世界観の演出がきっちりされてる。静と動をテーマにしたヴァーチャルリアリティ空間を仕立てあげ、4座に等しく交響曲の演奏を聴かせるかのような体験を提供しようとしている。「スポーツカーを操るドライバーとそれを体験する鑑賞者」という明確な演出意図がありつつ、「ロールスロイスやベントレーだってそうでしょ?」って向きには、「それはポルシェの走りではない」で簡単に議論を終わらせちゃう。この4座のスポーツカーにポルシェがポルシェであろうとした熱量は、圧倒的としか言いようがないんだよね。

Porsche Panamera Turbo / ポルシェ パナメーラ ターボ

●エンジン:4.0リッターV型8気筒ターボ
●出力:550PS
●トルク:770Nm
●トランスミッション:8速PDK
●車両価格:¥23,270,000~

問い合わせ先:ポルシェ カスタマーケアセンター  TEL:0120-846-911

http://www.porsche.com/japan/jp/models/panamera/