乗ってわかった! SUVのトレンドセッター、BMW X3の最新技術。

  • 文:大隅祐輔

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3代目となる新しいBMW X3。サイズが大きくなったものの、BMWのSUVらしいデザインは継承されている。

私はとにかく絶叫マシンが嫌いです。幼い頃に大嫌いになって以来、遊園地恐怖症。クルマは大好きですが、スリルを楽しむタイプではないようです。

新型BMW X3に乗りながら思い出したのが、この感覚。定番試乗会場、箱根の大観山展望台に到着し、時間もあまりなかったので、そそくさと試乗をスタート。展望台を出て箱根ターンパイクを下り少し強めにアクセルを踏みカーブを曲がると、あまりのハンドルの軽さに、おおきな車体を動かしている意識を忘れかけ、一瞬、フラついてしまったのです。絶叫マシンのような身体が浮き上がるような感覚というか、テレビ画面を見ながらハンドルを操作し、現実のクルマをバーチャルなゲーム感覚で走らせているというか。とにかくその軽やかなクルマの走りにゾクゾクとしたのでした。

ラゲッジルームの容量は550ℓ。後席の背もたれを倒せば、1600ℓにまで増える。

新しいX3のサイズは全長4720×全幅1890×全高1675mm。代替わりをするごとに車体は少しずつ大きくなっていて、先代と比較すると、全長は70mm、全幅は10mm伸びて、ひとクラス上のモデルになったような見た目。トラディショナルなキドニーグリル、フロントディフューザーの大径化でグッとたくましくなり、より上質で押し出しも強くなっています。が、実際の乗り味はそれとは裏腹に、驚くほど軽やかなのです。

X3にはxDriveと呼ばれる4WDシステムが採用されています。特徴は、あらゆる状況(路面、速度、ホイールの回転数、発生しているパワー、ステアリングの切れ角、アクセルの踏み込み度合いなど)を常に検知し、オーバーステアやアンダーステアなどの不安定な挙動があった場合、前後のトルクを的確に配分し安定性を保つこと。さらには、コーナリング時に内側のホイールにほんの少しブレーキが自動的にかかり、安定性を確保してくれます。

大きなSUVを動かしているとは思えないほど軽やかなステアリングに最初は戸惑うものの、走るうちに楽しく心地よく感じてくる。

xDriveはコンパクトカーなどすべてのBMWに用いられていて、どんな車格でも同様の「駆けぬける歓び」を体感できるよう、徹底的にセッティングされていると考えられます。SUV=車体が重い。そんな安直なイメージはBMWに通用しないわけです。なにも予習しないで乗ってしまったせいで、おかしな第一印象になっていたわけです。運転を続けていると、はじめのゾクゾク感はなくなり、厚いトルクを発生する2.0L4気筒ツインパワー・ターボ・ディーゼル・エンジン(最高出力が190ps、最大トルクが400Nm。ガソリンエンジンは同じ排気量で184kW、290Nm)も後押ししてくれるおかげで、素早さと力強さが絶妙に両立されていることがわかるようになり、どんどん心地よくなっていきます。

最先端技術に身を任せ、運転をしているうちにバーチャルな運転フィールがたまらなく楽しいものになっていきます。「迷わず行けよ、行けばわかるさ」とアントニオ猪木先輩の格言を噛みしめるBMWの最新技術。これこそがSUVのトレンドセッターたる所以なのかもしれません。

BMW X3 xDrive 20d
●エンジン:2.0ℓ 直列4気筒ツインパワー・ターボ・ディーゼル・エンジン
●出力:190ps
●トルク:400Nm
●トランスミッション:8速オートマチック
●車両価格:¥7,149,600(税込)
●BMW カスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437
www.bmw.co.jp