インスタレーションのように、アートな光を楽しむ。
写真:永井泰史 文:佐藤千紗

#25

アールデコのような幾何学意匠の「プレーン」は、真鍮と乳白ガラスで幻想的な風景を生みます。¥64,584

インテリアのアクセントとなる、アーティスティックで遊び心あるデザインが豊富になってきた照明。多灯使いでボリュームを出したり、コードで空間を演出したり、インスタレーションのような使い方のできるアイテムとして注目が高まっています。

イギリスのデザイナー、トム・ディクソンもインパクトのある照明を通じ、新たなインテリア空間を提案してきたデザイナーのひとりといっていいでしょう。昨年7月には海外初となるオンリーショップを東京・青山にオープン。デザイナー自身がディレクションした店内は、ドラマティックなライティングに彩られた、魅惑的な世界が広がっています。元パンクバンドのミュージシャン出身という異色の経歴を持ち、自身のブランドを経営しながら、独自路線を貫くトム・ディクソン。ブランドの世界が色濃く反映された店内を覗いていきましょう。

照明を複数灯吊るすことで、迫力あるコーナーに。クラシカルモダンなウィングバックソファと合わせて。

厚さわずか0.4mmの金属板をエッチングした「エッチ」。真鍮の網目を通し、陰影が生まれます。¥24,840~

テーブル上は、高度な真空蒸着塗装を施したシェードが鏡のようにきらめく照明「コッパー」¥68,904~

周囲の風景を写し込む鏡面仕上げのシェードが、不思議な存在感を空間に与えてくれます。

ポリカーボネートに粉末状の金属をグラデーション塗装した「フェード」は、光源が幻のよう。¥138,240~

代表作「ビートランプ」は、インドの伝統的な真鍮加工技術を使い、手作業により打ち出しています。¥68,040

トム・ディクソンのデザインのおもしろさは、「素材と技術」にあると、日本総代理店で彼との窓口を果たす西澤佳隆さんは言います。自動車部品の着色技術であるポリカーボネートの真空蒸着を使った「ミラーボール」、コンピューターの基板技術を使った「セル」など、工業技術からインスピレーションを得る一方、「ビートランプ」ではインドの伝統工芸である真鍮の加工技術を採用。さまざまな素材と技術を探し出し、ミックスさせる独特のクリエーションは、デザイン活動の出発点である廃品を再利用した「クリエイティブ・サルベージ」のころから一貫しています。

きらびやかなイメージの強いトム・ディクソンのデザインですが、意外なことに北欧で人気があるそう。温かみのある木を中心としたインテリアに、メタルなどシャープな異素材の照明を合わせることで、空間が引き締まり、引き立て合う効果が生まれるのでしょう。「ビートランプ」のシェードの真鍮を反射した温かみのある光は、北欧のヴィンテージランプにも通じます。複数の組み合わせによってもさまざまな表情を見せる照明は、コーヒーテーブルや階段の踊り場、玄関などの照明に、アクセント的に使うのもオススメとのこと。

次号予告

縄文土器から現代アートまで、語れるネタを伝授します。

超おさらい! 日本美術史。