針が1本もない腕時計! H.モーザーの新作はリングとディスクが回転して時分を表示。

  • 文:笠木恵司

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H.モーザー「エンデバー・フライングアワーズ」。中央は分表示リング。その下の3枚のディスクが回転して時間を示す。写真は10時10分。自動巻き、ケースは18Kホワイトゴールド、直径42.0㎜、厚さ12.3㎜。ダイヤルは「フュメ」によるファンキーブルー。世界限定60本。¥4,212,000(税込み、今夏発売予定)。

H.モーザーは、ダイヤル外周から内側に向けて明るくなっていく美しいグラデーションの「フュメ」技法で知られています。2針または3針モデルが中心ですが、新作として針が1本もないにもかかわらず、時刻が圧倒的にわかりやすいリミテッドエディションが登場しました。

 中央のリングは分表示で、その下の3枚のディスクが回転して時間を示していきます。この時間の数字が大きく、しかもステンシル・テンプレートのようにくり抜かれており、所定の位置に来ると背景がホワイトに変わるため、視認性は抜群。この時間の数字の上でリングが60分を経過すると、そのトップの「00」が重なるダイヤルが回転し、次の時間がやはり白抜き文字となって姿を表します。

 いわば分表示のリングを追いかけるように、時間が次々にリレーされていく仕組みなのです。ただし、リングの分目盛りは「00」から「60」分まで240度。このため次の時間は隣のディスクではなく、1枚先に飛ぶことから「エンデバー・フライングアワーズ」と命名されたそうです。17世紀に初めて回転ディスクで時間の動きを表現した置き時計「ワンダリングアワー」にインスパイアされ、姉妹ブランドのオートランスと共同で新開発した複雑機構です。

 ダイヤルカラーは、フランス語で「煙」を意味する「フュメ」によるファンキーブルー。針がないため、放射状に輝く明るいブルーダイヤルを遮られることなく堪能できます。いつもは私たちを追い立てるように過ぎていく時間ですが、この時計ならカチリと回転するのが待ち遠しくなるはずです。

18Kローズゴールドのローターを備えた自動巻き。4日間のロングパワーリザーブなので、実用性にも優れています。

問い合わせ先/イースト・ジャパン TEL:03-3833-9602