Vol.30 スティールウッド チェア

  • 文:竹内優介(Laboratoryy)
  • 編集:山田泰巨

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Vol.30
Vol.30 スティールウッド チェア
スティールウッド チェア

ロナン&エルワン・ブルレック

文:竹内優介(Laboratoryy) 編集:山田泰巨

世界的に活躍するデザインデュオ、ロナン&エルワン・ブルレックが手がけた「スティールウッド チェア」。2008年に発売されたこの椅子は、これまで本連載で紹介してきた椅子のなかでもっとも新しい椅子です。毎年数多くの椅子が発表されますが、そのなかで新たな名作として根付くことは大変難しいのが現実です。10年以上を経て愛されるこの椅子は、21世紀の新定番のひとつと言えるでしょう。

座面の幅は広くとられているのでゆとりがあり、浅めの奥行きは日本人でも深く腰をかけられて快適です。サイズはW550×D460×H760×SH450mm

革新的なアイデアや構造も、色使いやフォルムで馴染みやすいデザインへと仕上げるブルレック兄弟。彼らは「スティールウッド チェア」で、椅子の材料として定番であるスチールと木という2つの素材に向き合いました。

美しく湾曲した背もたれは1枚のスチールプレートを打ち抜き、曲げ加工など、およそ10の工程を経て成形されたものです。これを親しみやすい木材による4本の脚と座面で支えています。繊細なディテールや研ぎ澄まされたフォルムをもちながら、日常にすっと馴染む家具の提案にブルレック兄弟のデザイン力が垣間見えます。

インダストリアルな面持ちを残しつつシンプルに仕上げたフォルムは、空間を引き締めてくれる存在として活躍することでしょう。ホームユースからレストラン、オフィスなどのパブリックスペースにも使用できる寛容なデザインは、これからも定番の一脚として活躍してくれることでしょう。

発売から10年目を迎えた2018年には、定番に加えてグレー系のカラーバリエーションが新たに追加されました。

スティールウッド チェアと同様のジョイント構造をもつシリーズとして、スツールやコートスタンド、テーブル、シェルビングシステムを展開します。