Vol.18 ハイパッド チェア

  • 文:竹内優介(Laboratoryy)
  • 編集:山田泰巨

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Vol.18
Vol.18 ハイパッド チェア
ハイパッド チェア

ジャスパー・モリソン

文:竹内優介(Laboratoryy) 編集:山田泰巨

1999年にカッペリーニ社から発表された「Hi Padチェア」は、ジャスパー・モリソンによってデザインされました。現代におけるミニマリズムの潮流、その原点ともいえる簡潔なフォルムは発売から20年経ったいまも確かな存在感を放っています。昔からあったかのような親しみとともに新しさも感じる。そんなモリソンらしいデザインの奥深さにあらためて気付かされます。

繊細でさりげないフレームライン、丸みを帯びたフォルムにモリソンらしさが表れています。高度な技術が必要なファブリックの型押しは自動車の座席メーカーの技術を用いて開発されたものです。サイズはW420×D525×H810×SH440mm

1946年にイタリアで創業したカッペリーニ社は、80年代に創業者の息子であるジュリオ・カッペリーニがデザインディレクターを務めるようになるとデザイナーズ家具ブームを代表するブランドとして強い存在感をもつようになります。カッペリーニは新しい才能を発掘する眼力に優れ、ジャスパー・モリソンもここから出世作となる家具を発表しています。

現代のデザインシーンにおいて大きな影響を与えるデザイナーの一人となったモリソンは、同じくデザイナーで親交の深い深澤直人とともに「スーパーノーマル」の理念のもと、暮らしを豊かにする、シンプルで実用的なデザインを追及し続けています。奇抜な形状や大げさな主張のない「ハイパッド チェア」は優れたバランス感覚によるデザインで、「スーパーノーマル」の考えをよく表すものです。ブナ材の合板に、特殊な技術で立体的な膨らみをもたせた発泡ウレタンの座面と背もたれ、そしてその膨らみに密着するようファブリックを張り込むことで快適性を高めています。薄くスタイリッシュなフォルムや長時間座っていても疲れないその膨らみ、そんな機能性が主張せずとも他にはないデザインアクセントとなっているのです。

張り地はファブリックの他、レザーも用意されています。。スチールレッグはサテン仕上げ、ホワイト、ブラックからの選択が可能です。

こちらはスツールバージョンで、高さが選べる「Hi Pad stool」です。サイズはW440×D350×H800/H700mm