Vol.6 マレンコ

  • 文:竹内優介(Laboratoryy)
  • 編集:山田泰巨

Share:

Vol.6
Vol.6 マレンコ
マレンコ

マリオ・マレンコ

文:竹内優介(Laboratoryy) 編集:山田泰巨

いまでこそソファがリビングルームにある風景は一般的ですが、1970年代の日本においてソファは応接間にある特別な家具でした。その時代にアルフレックス社から発売されたのがマレンコです。イタリアのモダンスタイルにならった合理的で快適な暮らし。それを叶えるため、リビングに置いて家族の団欒の中心的な存在となるソファとして生まれたのがマレンコです。日本のモダンライフスタイルは、このマレンコからスタートしたといってもいいでしょう。

1971年の発売以来、見た目は変わりませんが、座り心地や耐久性、メンテナンス性を追求し100回を超える仕様改良を続けています。ロゴスタンプ付きの麻カバーは代名詞ともいえるもの。サイズはW1100×D970×H660×SH390mm

イタリア人デザイナーのマリオ・マレンコが一瞬のうちに描いたスケッチから生まれたと言われているこの椅子。クッションを組み合わせたような特徴的なフォルムに腰を下ろしてみれば、包み込まれるように身体にフイットして、その心地よさに驚かされます。中材に使われているモールドウレタンは、自動車や鉄道車両の座席などにも使われている耐久性の高い素材。ソファ形状の金型内にウレタン液を流し込み、短時間で発泡させて成形しています。弾力性が高いため体圧分散に優れ、快適な座り心地を実現しているのです。

清潔に長くものを使うという日本独自の合理性から着想した着脱可能なカバーは、イタリアにも逆輸入されることとなりました。着せ替えることで大きく印象が変わる上に、本体が痛まないので長年にわたって愛用できることが魅力です。温かみがありつつも、無駄を削ぎ落としたデザインはどのようなスタイルの部屋にも馴染むでしょう。たとえば古民家など日本の古い住宅に置いてもモダンさが加わり、ぐんと現代的な空間へと変えてしまう。登場からまもなく半世紀を迎える名作は、時を超えていつまでもモダンであり続けます。

ジョイント金具によって2人掛けから3人掛け、4人掛けへと自由に変形させられるので、暮らしの変化に応じた使い方が可能。オットマンもあり、さまざまなスタイルのリビングに対応します。

4つのパーツそれぞれに異なる色のカバーで包んだモデル。イタリアのバッグ・革小物ブランドFelisiのオリジナルキャンバス素材を纏ったスペシャルバージョンをはじめ、テキスタイルデザイナー鈴木マサルやN.HOOLYWOODとのコラボレーションなど、遊び心ある限定モデルが登場するのもマレンコの魅力。