Vol.2 LC2

  • 文:竹内優介(Laboratoryy)
  • 編集:山田泰巨

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Vol.2
Vol.2 LC2
LC2

ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン

文:竹内優介(Laboratoryy) 編集:山田泰巨

建築家によってデザインされた椅子は数多いものの、もっとも幅広く世間に知られる椅子がル・コルビュジエがピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンと共作したLC2ではないでしょうか。装飾を用いた建築様式を否定したル・コルビュジエは、伝統から切り離された合理性を信条とするモダニズム建築を提唱しました。この名作椅子は、そんな彼の建築思想をよく表すものです。

重厚なレザー張りの座面を軽やかに支えるのは華奢なスチールフレーム。足元を浮かせたデザインがエレガントな印象を与えます。サイズはW760×D700×H660×SH475mm

ル・コルビュジエは1928年、当時のモダニズムを象徴するスチールパイプを使用した籠のようなフレームに革製の四角いクッションをはめ込んだLC2を発表します。それは合理的に快適さを実現するソファでした。しかし彼の親しい顧客はこの椅子を手にしたものの、一般的にはスチールパイプの家具に馴染みがなかった時代で採算も見込めず、お蔵入りとなってしまいます。

この家具が再び世に出るのは1965年のこと。ル・コルビュジエとペリアンの監修により、カッシーナ社から早すぎた名作が復刻されることになったのです。同年にル・コルビュジエはこの世を去っていますが、それから50年を経た2015年には素材の見直しと過去のアーカイヴに基づく新色のカラーパレットが加えられました。クロームメッキとブラックレザーの組み合わせも普遍的で良いのですが、時代に合った表現を解釈するのも家具を楽しむ醍醐味の一つです。グレイッシュなパステルカラーの組み合わせは、まさにいまが旬と言っていいでしょう。既成のイメージとは異なる軽やかな魅力はもちろん、変わらぬ力強いデザインの美しさにも気がつきます。

こちらは二人がけのLC2。アイコニックなデザインで、サイズが変わっても象徴的な姿が与える印象は変わりません。 サイズはW1300×D700×H660×SH475mm

復刻から50年目を迎えた2015年には新しいカラーフレームが発表され、名作に新たな印象をもたらすことに成功しました。この時よりオーガニックレザーを使用。普遍的でありながら時代にあった進化を続けています。