Vol.1 イームズシェルチェア

  • 文:竹内優介(Laboratoryy)
  • 編集:山田泰巨

Share:

Vol.1
Vol.1 イームズシェルチェア
イームズシェルサイドチェア

チャールズ&レイ・イームズ

文:竹内優介(Laboratoryy) 編集:山田泰巨

あまりにも有名なこの椅子、誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか。アメリカのミッドセンチュリーデザインを代表するチャールズ&レイ・イームズによって、このシェルチェアが生み出されたのは1950年のこと。それまで家具デザインとは無縁の地であったアメリカ西海岸を拠点に活躍し、2人は新しい時代を切り開きました。

発表当時の表情を思わせるFRP製のサイドチェア。脚部はエッフェルと通称されているワイヤーベース。サイズはW465×D550×H810×SH410mm

チャールズとレイは当初、シェルチェアを量産可能なプライウッド(合板)で成型しようと構想していたといいます。しかし当時の技術では座面と背もたれが一体となった有機的な形状を実現できませんでした。そこで彼らが着目したのが、軍需用に開発されたFRP(ガラス繊維の入った強化プラスチック)です。これによって世界で初めてプラスチック製の椅子を量産化することに成功し、造形的に美しく、品質の良い椅子が多くの人にも買えるようになりました。

豊富なカラーバリエーションをはじめ、シートと脚部の組み合わせを選べる画期的な構造はアレンジの幅が広く置く場所を選びません。そんな生活に取り入れやすい点も名作椅子と呼ばれる所以の一つでしょう。ミッドセンチュリーの重厚なスタイルが好きであれば、FRP製を選ぶのがベスト。当時の雰囲気を復刻させたビビッドなカラーと風合いに加え、経年のキズや色焼けしていく姿にますます愛着が湧くはずです。一方、ポリプロピレン製はほどよくミッドセンチュリーの印象が薄まるので、北欧家具をはじめとする明るい色の木製家具とも合わせやすく、現代の雰囲気にあった軽やかさが魅力でしょう。カジュアルなイメージのある椅子ですが、おすすめなのがウォールナットのウッド製。ブラックカラーのインテリアと合わせてシックな空間も演出できます。

当初の構想を後年、実現したウォールナットのプライウッド製サイドチェア。シックな印象で現代のインテリアにも相性抜群です。

座面にはアームチェアも用意されており、こちらはさらに脚部に4レッグベースを使用したモデルです。座面、脚の形状も選択可能、そしてなにより豊富なカラーバリエーションが魅力です。