Vol.20 小イス
Vol.20

小イス

坂倉準三建築研究所

文:竹内優介(Laboratoryy) 編集:山田泰巨

日本のモダン家具の歴史はル・コルビュジエに師事した建築家、坂倉準三が試作した一脚の椅子から始まりました。坂倉は日本の近代建築を推し進めると同時に、自身でも家具工房を設立するほど家具デザインにも力を入れたことで知られています。日本のミッドセンチュリーに誕生した「小イス」を見つめ直すことで、あらためて日本の家具がもつ魅力に気づくことができます。

1953年に確立した初期のデザインモデルを忠実に再現し、2010年より天童木工が販売を始めました。構造を兼ねた木地の質感を生かした仕上げが初期デザインの特徴です。サイズはW420×D519×H800×SH410mm

坂倉による家具の魅力は、日本の新しい住宅にふさわしい形を探り、日本の伝統美と機能美を巧みに融合したところにあります。そこにはル・コルビュジエのもとでともにモダニズムの実践に励んだシャルロット・ペリアンからの影響も垣間見ることができます。

坂倉が帰国後にデザインした「小イス」は、1950年ごろから長く改良が重ねられた一脚です。現在、天童木工が販売する「小イス」は坂倉が設計した個人邸のためにデザインされ、53年に確立されたモデルを忠実に再現したモデルです。当時、欧米の多くのデザイナーが取り組んだ成形合板を日本でいち早く取り入れたデザインは、やわらかな丸みの背と座、それを支える真っすぐに伸びた脚が印象的といえるでしょう。

ミニマルながら存在感のあるデザインは、発表から半世紀以上経ったいまでも色褪せることない普遍的な美しさをたたえています。海外のミッドセンチュリー家具と比較しても遜色のない日本のモダンデザインが、当時から築き上げられていたことにどこか誇らしい感情を覚えます。

親交のあったジャン・プルーヴェのスタンダードチェアに触発され、木製で作りたいという思いから、1947年にデザインをスタートしました。

有機的な曲線を持つバックシートは、柿の実を真ん中から縦に割った時の曲線がヒントになっています。シートの高さは日本の建築に合わせて少し低めに設定されています。

Vol.20 小イス