目黒区碑文谷の目黒通り。国内外の自動車のディーラーがひしめく通りの一角に、マツダが異色のディーラーをオープンさせました。マツダと同じ広島に本拠地をおく、建築家の谷尻 誠さんが担当したディーラーのリニューアルは、じつはなかなかユニークでチャレンジングなことなのです。通常の自動車ディーラー店舗というのは、基本的にメーカーのCI（コーポレートアイデンティティ）に沿ってつくられたフランチャイズ的な建物。ちょうどコンビニやファミレスのように、本部がつくったマニュアル通りにつくらなければならないのが常識です。

ところが、この碑文谷店は、マツダのデザイン本部と建築家の谷尻さんが一緒になって、マツダの新しいデザインや発想を具現化したディーラー。同じような店舗はほかにない、まさにワンオフの店舗です。その特別感と意気込みは、内覧会でもしっかりと感じることができました。大人の趣味の部屋とでもいうべき、魅力的な待合室が駐車場の中に出現したり、2階にある巨大なパノラマウインドーから通りを眺めることができたりと、およそ自動車ディーラーとは思えない数々の仕掛けで、訪れる人を心地よくしてくれます。用がなくても行きたくなる、こんな快適な空間にいたら、マツダ車がひときわ魅力的に見えてしまいます。