木漏れ日が差し込む熱帯のジャングルで、ハチドリが忙しく羽ばたき、クジャクが大きく尾を広げる……。ジャケ・ドローが2017年12月に東京・銀座で発表した「トロピカル・バード・リピーター」は、腕時計の小さなダイヤルの中に緑豊かな自然と生き生きした鳥の動きを表現。その精密なメカニズムと装飾に驚嘆させられるオートマタ・ウォッチです。
オートマタとは12~19世紀にかけてヨーロッパなどでつくられた、「自動人形」とも呼ばれる機械仕掛けの「からくり」の意味。ジャケ・ドローの創業者で18世紀に活躍したピエール-ジャケ・ドローは、時計だけでなく、まるで生きているかのように動く精巧な自動人形の作家としても知られています。2012年にジャケ・ドローは、その歴史を腕時計として現代に継承する「バード・リピーター」を発表。これをさらにハイレベルに発展させたオートマタ・ウォッチが、今回の新作「トロピカル・バード・リピーター」です。
ケース径47㎜のダイヤルには、熱帯に生きる極彩色の動植物が浮き出るような立体感で彫刻。上部に配置されたブラックのインダイヤル(オニキス)が時・分を教えてくれるだけでなく、その左側で流れ落ちる滝が秒のモニターになっています。
このジャングルに配置された鳥たちは、時計ケース左側のミニッツリピーターのレバーを押し下げることで一斉に動き始めます。9時位置では3匹のトンボが優雅に舞い、その左の極楽鳥花(ストレリチア)をついばむようにハチドリが浮遊。その翼は時計史上で類のない、1秒間に40回の高速で羽ばたきます。5時位置のクジャクはブルーの大きな尾羽を広げては折りたたみ、3時位置のヤシの葉から長いクチバシを開いたトカカクも顔を出します。
こうしたオートマタの華麗な動きとともに、ミニッツリピーター機構のハンマーがカテドラルゴングを叩き、その音色と数で時間、15分、分を告知。この速度調節もフライング・ガバナーによってほとんど無音なので、美しく澄んだ音を堪能できます。ゴーギャンの絵画を想わせるような南の楽園が、視覚的にも音響的にも絢爛たるスペクタクルを展開する、ジャケ・ドロー渾身のオートマタ・ウォッチの傑作といえるでしょう。
問い合わせ先/ジャケ・ドロー ブティック銀座 TEL:03-6254-7288