さしずめ英国車でヨガに行く不良かな!? ジャガー Eペイスにグッとくる、意外なブランド本来のカッコよさとは。

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第63回 JAGUAR E-PACE / ジャガー Eペイス

    さしずめ英国車でヨガに行く不良かな!? ジャガー Eペイスにグッとくる、意外なブランド本来のカッコよさとは。

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    並みいる他社製コンパクトSUVと比較すると、内外装はシンプルでスポーティ。「考え尽くした」っていうデザインじゃないのがいいよね。ボディとホイールは黒で、内装は赤。伊達者ジャガーは、やっぱりこうじゃなきゃね(笑)。

    いまから6年前、スポーツカーであるFタイプを出す前のジャガーを思い出してみよう。ジャガーと言えば、XJシリーズに代表される高級クーペかサルーンが代名詞。それも至宝のV12エンジンにこだわることもなく、フォードのV8ターボで世の中のダウンサイズ化に渋々と対応していた名門ブランドですよ。いま思えば、あれは緩やかな凋落だったね。そのブランドに救いの手を差し伸べたのがインドのタタ・グループで、2008年以降、ランドローバーとともにいっきに捲土重来を図ってきたわけ。タタの方針は「金は出すが、口は出さない」。まぁ、実際は出していたのかもしれないけれど(笑)、潤沢な開発資金をもとに、本来のジャガーのあるべき姿を追い求めるようになった。時代に合わせながら、他の高級自動車メーカーとの差別化も図ってきた。

    それはそれとして、ジャガーと言えば“大人の不良のブランド”って認識で、50代以上の世代には異論がないはず。格上の英国車で圧倒的なカッコよさと色気を放ちながらも、そのクルマは繊細で壊れやすい(笑)。もはやジャガーに故障の心配はないけれど(?)、コンパクトSUVであるEペイスには久々に“不良のジャガーらしさ”を感じたな。過当競争が続く、この車型のクルマで感じるジャガーらしさ。その不良性とはなにか?  まずFタイプのイメージを引用しているデザインだけど、実車の印象は思いのほか大きくて存在感に満ちている。Fタイプがそもそも不良のスポーツクーペなんだけれど、イメージを引用しつつもコンパクトSUVという塊感のある車型に、スポーツカーのデザインをうまく調和させている。

    たとえばダッシュボードの造形は不良だね(笑)。乗員に向かってなだらかに傾斜するこのデザインは、普通のコンパクトSUVではありえないものだし、逆にクーペ好きにはグッとくるデザイン。走りは、28500Nm/degreeものねじり剛性をもったスポーツカーみたいな車体に硬めの足回りで、乗り始めから速さを直感できる。車格が上のFペイスやランドローバーのレンジローバー イヴォークに乗った時も感じたけれど、しっかりすぎるぐらいの器がつくられていて、より強力なエンジンを迎え入れる態勢ができたクルマっていう感じかな。今回の試乗車はガソリンで2ℓ直列4気筒の249馬力なんだけれど、エンジンはまだまだ大きいのがイケるね(笑)。これって、エンジンが強力になればなるほど不良性も増していく、とてもいいジャガー的サイクルなんだとも言える。すぐにでもV6エンジンを載せたくなるよ。あははは。

    Eペイスは比較してみたいクルマがあって、それはポルシェのマカンに他ならない。マカンがより911を指向したピュアスポーツに向かっているのに対して、Eペイスはそのキレのある身のこなしが、意識せずに身についたように自然なんだ。引用はしていても、走りはFタイプを指向しているわけじゃない。だいたい不良って、運動神経がいいでしょ?  スポーツをやらせるとなんでもできる、あの小憎らしい感じで、スポーティなんだ。このそもそももっている身体能力の高さは、たとえば全部のパートをサラリと自分で演奏できちゃう、レニー・クラヴィッツみたいな感じ。「ベイビー・ジャガー」っていうニックネームもいいよね。「ちょっとベイビーと出かけてくるわ」とか、あぁ、それ言いたいって感じなんだよね(笑)。

    ジャガー Eペイス
    ●エンジン:2.0ℓ直列4気筒ターボ
    ●出力:249PS
    ●トルク:365Nm
    ●トランスミッション:AT
    ●車両価格:¥4,750,000(税込)~

    問い合わせ先:ジャガーコール
    TEL:0120-050-689
    www.jaguar.co.jp