東京駅に出現した、“モノトーンなイデー”の新しさとは?

  • 写真:鈴木奈保子

Share:

写真:鈴木奈保子

東京駅に出現した、“モノトーンなイデー”の新しさとは?

イデー トウキョウ
丸の内
深澤直人セレクト
限定アイテムあり
ギャラリー併設

マットな黒を配し、直線を多用した店舗デザイン。店内奥、左右を貫く細長い空間にギャラリーが併設されている。

国内外の良質なライフスタイルアイテムをセレクトするイデーといえば、温かみのあるクラフトや色鮮やかなアイテムを思い浮かべる人も多いだろう。だがJR東京駅のエキナカ商業施設、グランスタ東京内にオープンした「イデー トウキョウ」はそのイメージを覆す。店舗デザインを手がけたのは深澤直人。什器や柱にはマットな黒を採用し、その配置やデザインは直線を強調するもので、従来の店舗とはまた別の洗練を感じさせる。

商品セレクトを深澤とともに行っていることも同店の特徴だ。アキッレ・カスティリオーニがデザインしたデンマークブランド「カラクター」のサイドテーブルや益子の陶器といった、世界の名品や民藝品が並ぶ。無印良品の定番アイテムにイデー トウキョウ限定カラーを施した「ムジ リファイン」シリーズなど、ここでしか手に入らないアイテムも揃える。

もうひとつの新基軸が店舗にギャラリーを併設していること。黒を基調にした販売スペースとは対照的に、こちらは静謐さを感じる真っ白な空間。さまざまな国や世代のアーティストやデザイナーの個展を月替わりで開催するという。販売スペースと切り離された細長い空間は没入感があり、じっくりと作品に向き合える。

新改札口「グランスタ地下北口」近く、飲食店が立ち並ぶエリアで同店からひときわ漂う硬質な雰囲気に惹かれるはずだ。独自のセレクトやギャラリーなど、新たなイデーのスタイルを目にしてほしい。

細長く広がるギャラリーは販売スペースや店外と切り離された空間。ゆっくり鑑賞でき、作品がつくり出す世界観に没入したい。写真は9月1日まで行われている陶芸家の黒田泰蔵の個展、9月4日から10月20日までは染色家・アーティストの柚木沙弥郎による布作品の展示を予定。

オーク材のラウンドチェアを、深澤が旬の色と考える黒で仕上げた「ムジ リファイン」シリーズのアイテムのひとつ。イデー トウキョウだけの展開。背や座の曲線も美しい。¥19,800(税込)