現代的な感性の穏やかな香りが漂う、エルメスの新作香水「H24」

  • 文:高橋一史

Share:

現代的な感覚を香りに落とし込んだ、エルメスのメンズ向け、新オードトワレ「H24」。©Quentin Bertoux

エルメスの香水に、メンズのオードトワレ「H24」が加わった。2016年より同ブランドの香水クリエーション・ディレクターとして腕を振るうクリスティーヌ・ナジェルによる初のメンズ向け香水で、自然体で生きる現代の男性に合う新発想が息づいている。

まず感じるのは、フルーティな甘さ。果物にたとえるならメロンが近いだろうか。ほどなく華やかなトップノートは移り変わり、甘さを残したまま爽やかさが顔を出す。そのミドルノートが長く続き、終盤のラストノートではすべてが溶け合って落ち着きを増していく。トップからラストまで自然なグラデーションを描くフレグランスである。身に纏う人次第で異なる印象を与えるような自由さが心地いい。

調香師のナジェルは18年に発売されたユニセックスタイプのオーデコロン「オードゥ シトロン ノワール」も手がけているが、それは朝の日差しのようにフレッシュな若々しい香り。比べるとH24には、優しい笑顔の大人に似合う穏やかな表情がある。ナジェルはH24について、「この新しいエルメスのフレグランスを生み出すには、型破りな、未知なる旅路に踏み込まなくてはならないと感じました。男性的なウッディノートから少し離れてみることが必要だったのです」と語っている。従来のメンズフレグランスはタバコ、ウッド、ムスクといった香料で苦味や野性的な色気を表現することが多かった。

彼女が主軸に据えた香料は、甘いハーブのクラリセージ。さらに、重みのあるアンバー、ミステリアスなスイセン、バラに似た香りのローズウッドなどを配合している。21世紀も20年が過ぎ、男女の嗜好性が近づいていく中で、H24は未来へ向かう時代のひとつの指標になるかもしれない。

きっとフレグランスに不慣れな男性も日常使いしやすいだろう。脚を組んだ時にハッと気づかせるパンツの裾や、歩き出した時に残り香を漂わす背中などに用いて、エルメスのウエアと同様にさりげない趣味のよさを狙ってはいかがだろうか。

ひし形の流線型ボトルは、美しきフラスコのような顔つき。デザインしたのはエルメスのウォッチやテーブルウエアも手がけるフィリップ・ムケ。©Quentin Bertoux

ライムグリーンの色みも爽やかな、オードトワレ「H24」。3/1発売。左から、100ml¥16,500(税込)、50ml¥11,770(税込)、レフィル 125ml¥15,950(税込)©Quentin Bertoux

問い合わせ先/エルメスジャポン
 TEL:03-3569-3300
www.hermes.com